見守り弁当:高齢者同士が支え合う社会へ 伊万里のNPO、配達 安心で安全な町に /佐賀
2014年10月24日毎日新聞
高齢者が支え合うユニークな地域社会を目指す伊万里市のNPO法人「NPO栄町地域づくり会」は22日、孤独死を防ぐ「見守り弁当」の配達を始めた。井手薫会長(75)は「高齢者が高齢者の安否確認をすることで、安全安心な町にしたい」と抱負を語った。
弁当は独り暮らしの75歳以上が対象。毎週水曜日午後5時、近くの老人福祉施設から調理した弁当が活動拠点の栄町ふれあい館「支温(しおん)の家」に届く。元気な高齢者が手分けして各家庭に配達する。
1食500円で副食のみ。利用者は16人で全員が女性。平均年齢は81・3歳。うち7人の自宅に4人が配達した。残り9人は、支温の家に取りに来た。
見守り弁当には多くの工夫がされている。まず食器。おかずは皿や小鉢に盛りつけ、弁当箱に入れた。「それらを取り出し食卓に並べ、少しでも豊かな食事風景に」との配慮から。高価な弁当箱は回収が必要。1週間以内に支温の家に返しに行くか、配達者が回収する。「こうすれば、週に2回は安否確認ができる」と井手会長。
500円のうち25円は配達料。「配達を気の毒がる高齢者が多いので、遠慮させないため」の徴収。25円は配達者に渡し、取りに来れば25円引きにする。
調理する福祉施設の事情から今回は16食が限界だった。井手会長は「需要は多いが、応じるには他に調理場が必要になる」と言う。【渡部正隆】