離れて暮らす親の認知症対策 ゴミ出しや財産守るサービス等
2014年10月19日NEWSポストセブン
認知症高齢者とその予備軍はあわせて862万人ともいわれる。この病は当事者だけでなく家族にも大きな負担を強いるため「自分も当事者になる」という意識はすべての国民に必要だろう。とはいえ、同居していない親が認知症になったときはどうしたらよいのか。来るべき日に備え、利用できる便利なサービスをいくつか紹介する。
●困りごと援助サービス
本人や家族が日頃の家事を行なうことが難しい場合、各自治体にある社会福祉協議会の「困りごと援助サービス」を利用できる。各社会福祉協議会によって名称や内容、費用は異なるが、食事や掃除などのサポートが受けられる。
たとえば中野区社会福祉協議会の「ほほえみサービス事業」では、年会費3000円を支払えば、1時間800円で食事の支度や洗濯、掃除などを手伝ってくれる。
●日常生活自立支援事業
『70歳すぎた親をささえる72の方法』(かんき出版刊)の著者で、NPO法人「パオッコ~離れて暮らす親のケアを考える会~」理事長の太田差惠子氏がいう。
「社会福祉協議会は、認知症患者向けに『日常生活自立支援事業』というサービスも行なっています。通帳や印鑑、年金証書などを預かり、年金や福祉手当の受け取りに必要な手続き、公共料金や福祉サービスの利用料支払いなどを代行してくれます。利用料は地域によって異なり、生活支援員の訪問1回あたり1200円ほど。強引なセールスなどを断わりきれなかったり、つい不要なものを買ってしまったりというケースに有効です」
●成年後見制度
判断能力が低下した高齢者に高額契約を結ばせる悪徳セールスが多発している。その際は「成年後見制度」を利用する手段がある。この制度を利用すれば、例えばクーリング・オフ期間を過ぎても本人が交わした契約を取り消すことができる。本人の財産を守ることが制度の目的であるため、後見人は本人の利益にならない資産を自由に処分できない。子が親を後見する場合、かえって不便なケースもあるので注意。
●ゴミ出し支援
「多くの自治体では『ふれあい収集』などの名称で、介護認定を受けている高齢者世帯などでゴミの戸別収集を行なっています。収集する際にインターホンなどで一声かけることにより安否確認を兼ねているところも多い」(前出・太田氏)
●外出支援サービス
自治体では、高齢者や体の不自由な人を対象に「外出支援サービス」を用意していることが多い。タクシーの利用に補助が出たり、専用のワンボックスカーで送迎してくれたり、内容は行政によって様々だ。愛知県半田市では、外出が困難な高齢者などを対象に、年24回までタクシーの初乗り運賃の9割を助成する(要介護度4以上は年48回)。