県:高齢者の孤立化防止 民間の協力活用へ、ガイドライン策定 /千葉

2014年10月01日毎日新聞

 県は、高齢者の孤立化を防ぐ「ちばSSKプロジェクト」を強化するため民間企業の協力を得ようと、「高齢者福祉に特化した地域貢献ガイドライン」を策定した。高齢者の日常生活の支援に関わる事業などに取り組む企業と個別協定を結び、企業が地域で円滑に事業展開できるよう市町村との調整や県民へのPRなどを行う。第1号のコンビニ大手セブン−イレブン・ジャパンに続き、3日には日本郵便関東支社とも締結。地域に根ざした店舗網や業務を通じ、高齢者へのきめ細かい支援や高齢者雇用の促進などが期待されている。

 SSKは「しない(S)、させない(S)、孤立化(K)」の意味。急速に進む高齢化対策の一環で、2012年3月から県のプロジェクトとして住民同士の声のかけ合いの必要性などを広く広報してきた。しかし、地域のつながりは希薄化してきており、民間の力を積極的に活用して高齢者支援の取り組みを強化する必要があると判断した。

 ガイドラインでは、企業に対し、高齢者だけの世帯への宅配・配食サービス▽配達時の声かけによる安否確認▽防犯広報や地域の犯罪情報の提供への協力▽高齢者雇用の促進−−などをできる範囲で実施するよう要請。企業の取り組みが高齢者福祉の向上につながると判断した場合、協定を結び、県は企業が市町村と連携を取りやすいよう調整したり、企業の取り組みを広く県民に紹介したりするなどの支援を行う。

 第1号のセブン−イレブン・ジャパンは7月31日に締結した。増加する高齢者層をターゲットに00年から弁当などの宅配サービス「セブンミール」を始めており、既に県内924店舗(8月末時点)の約8割で実施しているという。同社は、行政の協力があれば信頼も得やすく、顧客獲得につながると判断。宅配の際の声かけ強化や認知症サポーターの養成などに取り組むほか、「近い年代の方が会話も弾みやすく、顧客との距離が縮まる」として、高齢者雇用も積極的に行う方針だ。

 また、日本郵便に対しても、配達の際の声かけ▽郵便物がたまっているかなど異変サインのチェック▽郵便局設置の現金自動受払機(ATM)を使った振り込め詐欺防止−−などが期待されている。

 諸橋省明副知事は「地域ぐるみで高齢者を守ることが必要であり、(セブン−イレブンなどの取り組みは)心強い」と歓迎している。