新潟のパルコミュニケーションズ、水利用計測で高齢者見守り
2014年09月26日日経新聞
電気通信工事を手がけるパルコミュニケーションズ(新潟市、五十嵐修社長)は水道の利用量を計測することで、高齢者の安否を確認する見守りシステムを10月から販売する。新潟市を中心に、県内でも一人暮らしの高齢者が増加するなか、離れて暮らす子どもなどの利用を見込む。
家の水道の元栓に設置した計測器で水の使用量を常時監視し、インターネット上に利用量を記録する。水道の利用状況を、事前に登録した親族などに定期的にメールで送る。利用量を時間帯ごとにグラフで表示することもできる。何日も水をまったく使わないなど、異常があった場合も自動的にメールを送信する。
水道は風呂やトイレで毎日必ず使う。使用量を時間帯ごとに区切って測れば、寝起きを含めた個人の生活リズムをうかがい知ることもできる。安否確認に使えるだけでなく「排せつの回数や頻度で病状の変化などが推察できる」(五十嵐社長)という。
ITホールディングスの子会社、クオリカ(東京・新宿)が開発した見守りシステムに、自社開発の仕組みを組み合わせる。クオリカのシステムは携帯通信網を使って水道の利用記録をネット上に送信する。パルコミュニケーションズはケーブルテレビのインターネット回線を使ってデータを送信できるようにした。携帯通信網を使う場合に比べ、通信費の抑制が期待できる。
岐阜県でクオリカのシステムを使った実証実験が行われていたが、新潟県内で採用するのは初めての試みとみられる。
初期導入に工事費用として3万~5万円、機器のリース料込みの月額利用料で3900円程度を見込む。需要が増えれば機器を簡略化して、顧客がより安く利用できるようにする考えだ。
携帯通信網の高速化により、ケーブルテレビを利用したネット接続サービスの利用者は減少する傾向にある。ケーブルテレビ事業者にネット回線の新たな用途として売り込むほか、介護付きサービスを手がける不動産事業者などへの販売も検討している。
国勢調査によると、2010年の新潟県の65歳以上の高齢単身世帯の割合は7.86%と、全国平均(9.39%)を下回る。ただ、新潟市内は中央区など中心部に高齢者のみの世帯が増えている。今後は一人暮らしの高齢者がさらに増える公算が大きく、見守りの需要はあると判断した。