慶大、カメラ使わず赤外線アレイセンサーで人の行動を識別できるシステム開発

2014年09月22日朝日新聞

 慶応義塾大学理工学部の大槻知明研究室はカメラを使わず、またセンサーなどを身に付けることなく、低解像度の赤外線アレイセンサーを使って人の行動を識別できるシステムを開発した。機器を装着する煩わしさやカメラによる心理的負担なしに、高齢者らの見守りができるようになる。

 大槻教授らは、電子レンジやエアコンなどの家電、空調や照明制御などのオフィス機器などに使われている低解像度の赤外線アレイセンサーを使った行動識別システムを開発。カメラと違って画像を使わずに、赤外線センサーが得るある範囲の温度分布に基づいて複数の行動を識別する。

 センサーの大きさは11・6ミリ×8・0ミリ×4・3ミリメートルと小型。設置スペースや設置時の見た目も問題にならないという。例えば、転倒を約97%の高精度で検出できる。

 2013年版高齢社会白書によると、日本の総人口の24・1%が65歳以上の高齢者。高齢者の事故の63%が家の中で起きており、独居老人が増えている現在、高齢者の見守りは重要とされている。従来、センサーを身に付けるシステムやカメラを使った見守りシステムはあったが、装着の煩わしさやプライバシー侵害による心理的な負担が問題になっていた。