家族と簡単にビデオ通話、高齢者向けサービス「Hubert」

2014年07月31日AFP BB NEWS

 インターネットを通じた家族とのコミュニケーションを支援する高齢者向けのサービス「Hubert」の運用が欧米諸国で始まった。タブレットの使い方に困惑する2人の祖母から着想を得たというこのサービスでは簡単な操作のみを必要とし、使用するアプリのインターフェースもごくシンプルなものになっているという。

 共同創業者のステファン・リュソン(Stephane Lucon)さんは、「祖母が高齢者向けの施設で亡くなったのがきっかけになった」と述べ、「大半の高齢者はタブレット画面上に並ぶアプリの数の多さだけで及び腰になる」ことに気付いたとAFPの取材で説明した。

 このたび、欧米での運用が始まった「Hubert」は、ネット上で一般の人からの資金提供を募るクラウドファンディング・プラットフォーム「インディーゴーゴー(Indiegogo)」を活用し資金調達を行っているという。

 リュソンさんは「私は、フランスの祖母の家から2000キロ離れたルーマニアで妻と子どもと共に暮らしていた。できる限り祖母を訪ねてはいたが、(本来なら)スカイプなどのビデオ通話で毎日、孫と話せるようにしてあげたかった」とその心情を語った。

 だが、80歳以上の高齢者の大半がそうであるように、リュソンさんの祖母もタブレットやPCを使うことができなかった。

 高齢化は世界規模で急速に進んでいる。世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、80歳以上の高齢者人口が、2000年~2050年に約4倍増え、3億9500万人になると推計している。高齢者の多くは、インターネットの普及前の時代を生きてきたのだから、デジタル通信時代の技術に馴染めないのは当然のことだ。

 リュソンさんは、英国を拠点に活動するルーマニア出身のデザイナー、ペトレ・ニクレスク(Petre Nicolescu)さんの協力を得て、新たなインターフェースの開発に数か月を費やした。リュソンさんのもう1人の祖母(87歳)は健在で、開発には彼女の意見も反映したという。

「アプリを使う際に、画面上にはボタン1~2個だけが表示されるような新しいインターフェース」の構築を目指した結果、普段は使わないアプリがすべて非表示となるシンプルな画面に辿り着いた。

 さらに、リュソンさんはサポートサービスを立ち上げ、問題の解決や新たなアプリのインストールなどで、ユーザーを支援する体制を整えた。画面上のヘルプボタンを押すだけで、スタッフと直接つながることができるこのサービスは月20ドル(約2000円)で利用できる。