在宅高齢者対象「特養の見守り」に期待

2014年07月04日ガジェット通信

 兵庫県で行われている全国初の取り組み「地域サポート型特養」が功を奏しています。この「地域サポート型特養」は、緊急通報装置である携帯電話を貸し出すことにより、自宅にいる高齢者の安否確認や緊急時対応を実施。

 特別養護老人ホームの24時間対応の態勢を生かした事業となっており、「安心、安全」を担保したものとなり得るでしょう。利用者は100人を超え、これからさらに拍車がかかる高齢化に向けて、在宅高齢者を支えていくシステムとしてお手本となる取り組みです。

 現在の介護保険制度は、「できる限り自宅で、安心、安全に」生活してもらうことを理念としています。しかし、それらができない高齢者のために、入所型の介護保険施設も制度化しています。

 それでも、特別養護老人ホームに入所したくてもできない待機高齢者が50万人を超え(厚生労働省調査)、障害が重度である高齢者や認知症の高齢者であっても、「自宅で安心、安全」に生活できることが望まれています。

 特別養護老人ホームが地域に貢献することにより、地域住民の信頼が生まれます。これは、「地域に開かれた施設」として機能することが求められる特別養護老人ホーム側にとって、「願ってもない話」だと思います。

 また、特別養護老人ホームという施設を知ってもらうきっかけにもなるなど、さまざまな相乗効果を生み、地域住民および高齢者にとって「住みよい社会」になっていくことも大いに期待されます。

助成金の少なさに長期継続への懸念も

 しかし、多くの特別養護老人ホームがこの取り組みに応募してきているとはいえ、3年間で計190万円の助成はあまりにも少ないように感じます。特別養護老人ホームの財政基盤を考えて算出された額なのか、実費程度の負担になっているのか詳細は不明ですが、長く続けていくためには、それ相応の助成を行うべきだと思います。

 現在は応募数が多く、認定施設も50を超える想定のようですが、今後、認定施設が財政的な面で長期継続を辞退していくようなことになれば、せっかくの良い事業も台無しです。

今回の事業で認定されている施設長の「すべての分野で採算をとろうとは考えていては、福祉は成り立たない」という声に安堵感を覚えます。行政が実施する事業を通じて「人も育っていく」、その民間人の思いをくみ取り、これからの超高齢社会を官民一体で乗り切っていくためには、行政の最大限の協力が求められます。