高齢者がテレビ電話でサービス依頼、本格運用
2014年06月27日読売新聞
高齢者がテレビ電話を使ってスーパーの商品の宅配サービスを受けたり、電話で庭の手入れを頼んだり出来るなど、企業が連携して支援するプロジェクトが25日、実証実験の期間を経て甲府市や中央市など山梨県内6市の計25世帯を対象に本格運用された。
実証実験が好評なことから、今後1年間で対象世帯を200世帯ほどに増やすことを目標にしている。
■タッチパネルで簡単操作 スーパー宅配
支援するのはNTT東日本山梨支店、スーパーを展開する「やまと」、あさひ警備保障などの計5団体。サービスの利用には年齢制限を設けていないが、高齢者を想定している。
パソコンを使ってインターネットに接続し、商品名や注文数などを入力することが苦手な高齢者にも使いやすいように、テレビ電話をタッチパネルで操作する方式を導入。これを使ってスーパーの商品を注文できたり、電話で庭の手入れや粗大ゴミの処理などのサービスを頼んだりできるが、高齢者の外出する機会を奪わないよう、注文は「重い商品が持ち帰れない」「体調が悪い」などの場合を想定している。
年会費は6000円。しかし代わりにスーパーやまとの商品券6000円分がもらえる。テレビ電話の設置は1台2000円。インターネット通信費などに月額6000円前後かかる。
■実証実験が好評
実証実験は2012年に始まった。対象世帯だった甲府市に住む矢崎秀子さん(79)はテレビ電話のサービスを活用している。夫の賀冬さん(80)と次男(45)の3人暮らしで、交通事故で左腕を骨折して以来、重い物が持てない秀子さんの代わりに、スーパーでの買い物は夫の賀冬さんが行っていた。しかし昨年8月、賀冬さんが心臓の病気になり車の運転をしなくなり、米やじゃがいも、24本入りの缶ビールなどの重い買い物は、サービスを活用している。秀子さんは「息子は平日仕事で忙しく、今後の事も考えて使い始めてみたが、非常に助かっている」と話している。
■利用者の意見を反映
実証実験では、テレビ電話のタッチパネルに盛り込む情報を利用者の意見を受けて改良してきた。「特売日を掲載してほしい」との声もすぐ反映された。プロジェクトをとりまとめた「やまなしの翼プロジェクト」の戸田達昭代表は「利用者の『あった方がいい』という声に応えながらサービスの質を高めていきたい」と話している。(長嶋徳哉)