通信工事のTTK、TV電話で高齢者見守り
2014年06月03日日経新聞
通信工事のTTKは自治体の住民向け通信サービス事業に参入する。光ファイバーなどの高速通信網のインフラ整備を終えた自治体を対象に、テレビ電話を使った高齢者の健康管理サービスや防災情報の配信システムの導入を促す。設置工事に加え、その後の維持・管理サービスも手がける。東日本大震災の復旧工事が一巡するなか、新たな収益の柱に育てたい考えだ。
第1弾として岩手県岩泉町から通信システムの設置工事を請け負った。町の事業名は「ぴーちゃんねっと事業」で、予算はインフラ整備も含めて約31億円。来春までに町内の全4700世帯にテレビ電話の機能が付いた「IP告知端末」を設置する。端末同士はテレビ電話の通話が無料でできる。
同町の小本地区には昨年10月に先行導入した。IP告知端末は約600世帯に設置。町内で開かれるイベント情報や台風などの防災情報を町役場から発信している。住民の健康管理にも活用。テレビ電話を使って町役場の担当職員が高齢者などの健康相談に応じるほか、町民体操をいつでも動画で見られるようにした。健康食のレシピも定期的に配信する計画だ。
TTKはIP告知端末を使った自治体の住民向けサービスの余地はまだ大きいとみている。例えば、社会福祉協議会などと連携した独居老人の見守りサービスや、医師による遠隔での健康指導などだ。血圧など日々の測定結果をサーバー経由で管理し、健康管理に生かすこともできるという。
そのため自治体向けの営業も強化する考えだ。独り暮らしの高齢者が多い地域や、台風などで河川が氾濫するリスクが大きい地区など、自治体が抱える課題はそれぞれ異なる。2011年に専門の営業部隊として立ち上げた「ソリューション営業部」を中心に、地域の課題解決に有効な通信サービスを自治体に提案する。
同社は通信網のインフラ整備工事を手がけるなど、関係が深い自治体も多い。迅速な保守管理サービスができるなど地場企業としての強みを生かし、受注獲得につなげる。
このほど14~16年度の3年間の中期経営計画を発表した。17年3月期の連結売上高は400億円を目標に掲げる。
固定系通信設備の大規模工事が減るなど、今期の売上高は前期比3%減の380億円を見込む。自治体の住民向け通信サービスなどの新たな事業を収益の柱に育てたい考えだ。