高齢者の孤立死防ごう 鍵預かり安否確認

2014年05月20日読売新聞

◇寝屋川市社協 108人利用「安心できる」

 高齢者の「孤立死」を防ごうと、寝屋川市社会福祉協議会(社協)が、一人暮らしの高齢者宅の鍵を預かる「緊急時安否確認(かぎ預かり)事業」を始めた。地域住民や民生委員らの情報を基に異変があると判断すれば、鍵を開けて安否を確かめる。19日現在、108人が利用し、「もしもの時の安心につながる」と評判は上々。同様の取り組みが一つの自治体全域で実施されるのは府内で初めてという。(梶多恵子)

 4月にスタートし、65歳以上の単身高齢者が対象。利用は無料で、本人が市社協に申請する。安否確認をためらわないよう、解錠して緊急事態がなくても市社協などは責任を負わないとする同意書も事前に交わす。

 預かった鍵は、市社協職員らが本人の前で袋に入れてのり付け。市内の病院や特別養護老人ホームなど、24時間対応できる自宅近くの医療福祉施設で、施錠できるロッカーに保管する。

 鍵を開ける場合の目安は〈1〉新聞や郵便物がポストにたまっている〈2〉洗濯物が何日も干したままになっている〈3〉助けを呼ぶような声が聞こえた――など。これらの情報が寄せられると、市社協職員や自治会長、家族らが相談し、緊急事態と判断すれば、市社協職員ら複数が立ち会って解錠する。

 市社協によると、市内では昨年1月~今年3月、近隣住民らが異変を感じ、安否確認されたのは100人。このうち71人が既に死亡しており、16人は発見まで8日以上たっていた。市社協は「すぐに安否確認できれば、孤立死を防げたケースもあったはず」とみる。

 市社協は、民生委員が個人的に鍵の預かりを頼まれるなどしていたため、制度化を目指して2012年度から試験的に実施。介護ヘルパーが訪問しても応答がなかった70歳代男性宅の鍵を開けたところ、室内で転倒し、頭などをけがして動けなくなっており、救急搬送したケースがあった。

 ある女性(78)は息子2人が市外在住で、近所に頼れる親戚もいない。「いつ体調を崩すかわからず、室内で倒れていても誰にも気付かれない。みんなに見守ってもらえ、息子たちも安心している」と歓迎する。

 市社協には府内外の福祉団体などから7~8件の問い合わせがあり、いずれも関心を示していたという。

 市社協は、5年後の利用者1000人を目標とし、障害者らへの拡大も検討。市社協の浜吉信彰・地域福祉課長は「一人暮らしになった本人が、今後のことを真剣に考えるきっかけにもしたい」と話している。問い合わせは市社協(072・838・0400)。