弁当宅配利用者の死亡、「見守り怠り」遺族がワタミ系業者を提訴/横浜

2014年02月27日神奈川新聞

 母親=当時(72)=が死亡したのは、配食サービスの宅配時に安否確認を怠ったためとして、横浜市神奈川区に住む遺族の男性が26日、配食サービス業者の「ワタミタクショク」(東京都大田区)などに2200万円の損害賠償を求める訴えを横浜地裁に起こした。

 訴えによると、男性は昨年2月、母親が独り暮らしをする同市港南区のマンションに平日の週5回、弁当を配達してもらう契約を同社と締結。宅配時に利用者を見守る無料の安否確認サービスの利用も申し出た。弁当は母親に手渡し、「異変があれば男性の携帯電話に連絡する」と担当者から説明を受けた。

 しかし、同8月12日午前11時ごろ、母親宅を訪れた宅配担当者は応答がなかったとして、持参した保温容器に弁当を入れて自宅前に置き、立ち去った。翌朝に男性が訪れると、母親は室内で死亡していた。死因は心不全で、原告側は室内の状況から同日の午前11時近くに死亡したと主張、「すぐに連絡すれば助けられた」としている。

 訴訟では、同社と宅配担当者、同社社長のほか、「十分な教育を怠った」として、グループ会社創業者の渡辺美樹参院議員も被告とした。

 原告側によると、同社は男性に対し、「翌日まで弁当が残っていた場合は、『異変』として連絡している」と回答したという。

 男性は「24時間たってからの安否確認では意味がない」と批判。高齢の母親を心配し、安否確認を行っている同社を選んだといい、「裏切られた思い。謝罪してほしい」と話している。

 ワタミ広報グループは「訴状を確認していないため、コメントは差し控える。遺族にはお悔やみ申し上げる」としている。