ネットで見守り 技術革新が市場けん引

2014年01月25日日経新聞

 「ネット見守り」の黎明(れいめい)期は、電気ポットなどの使用状況から安否を確認するなど簡単なサービスだった。それが病気の兆候までわかるようになったのは、クラウドやビッグデータといったIT(情報技術)の技術革新が大きい。

 矢野経済研究所によると、見守りサービスの市場規模は2012年度に168億円。まだ大きいとはいえないが、伸び率は前年比で20%も増えた。内閣府の「高齢社会白書」は35年に高齢者の5人に1人が一人暮らしになると予測する。プライバシーへの十二分な配慮は不可欠だが、高齢者の孤独死も社会問題化する中、見守りサービスの需要が高まるのは確実だ。

 成長市場を狙う企業の動きも活発だ。NECは昨年11月、話しかけると音声認識で文章に変換し、交流サイト(SNS)に投稿する見守りロボットを開発した。情報機器の操作が苦手な高齢者も、ロボットに話しかけるだけで、用件をネット経由で伝えられる。シャープはテレビを通じ、健康状態についての質問に答えてもらう見守りシステムを開発した。便利な機能を低価格で提供するサービス競争が激しくなりそうだ。