高齢者見守る安心メール 水道使用状況、親族に通知
2014年01月11日岐阜新聞
◆郡上のNPO、システム開発
生活に直結した水道の使用状況を、携帯電話メールで離れて暮らす親族や地域の民生委員らに知らせ、独り暮らしの高齢者の見守り活動に生かす。こんな思いで郡上市職員らでつくるNPO法人「つくしん棒」は、電気機器メーカーなどと共同で水道使用に着目した見守りシステムを構築し、同市和良町の2世帯で実証実験を続けている。
見守りシステムは、対象となる世帯に水道事業者のメーターとは別に、新たなメーターを取り付け利用状況をモニターする。昨年6月から進めている実験では午前5時から同8時までの間に初めて水道が使われた時点で親族らの携帯電話に自動でメールを送っているほか、連続で12時間以上使用されなかった場合にもメールを自動送信している。
同市環境水道部に勤務する佐野武理事長(41)が2012年秋に北菱電興(本社金沢市)などへ協力を依頼。インターネットを使って機械や重機などの稼働状況を遠隔監視している機器の仕様を変更し、昨春に完成させた。
実験に参加する石神勇雄さん(84)=同町=は独り暮らし11年目。県外で暮らす娘2人は月に数回訪れているが、「遠くにいても毎日安否が分かるのは、ありがたい」と次女の松原加代子さん(50)=愛知県春日井市=。最近では毎朝ほぼ決まった時刻に届くメールが「私の一日の始まりになっている」と言う。
システムは1時間ごとの使用水量なども記録しており、パソコンを使えばトイレの回数など生活リズムも一目瞭然。佐野さんは「在宅医療への効果も見込めるのでは」と期待を寄せる。今春の運用開始を目指し、既に山県市と岐阜市の見守り団体が導入に向けた検討を始めているという。