ココネット、「ご用聞き」で高齢者見守り
2013年12月04日日経新聞
セイノーホールディングスの子会社でスーパーの商品宅配代行を手掛けるココネット(東京・中央、河合秀治社長)は今月中旬、高齢者宅を「ご用聞き」で定期訪問し、顧客の安否も確認する「見守りサービス」を福岡市で始める。買い物の注文を受けるほか、生活に異常がないかなどについて親族にメールを送る。足腰が弱り自由に外出できない高齢者が増える中、ご用聞きを接点に幅広いサービスを提供する。
西日本鉄道の子会社、西鉄ストア(福岡市、築嶋俊之社長)と組む。まず西鉄ストアが運営するスーパー「レガネット南長住店」(同)周辺でサービスを始める。同店周辺には高齢者が多く、ココネットは需要が大きいとみている。ご用聞きサービスの料金は月額一律880円。
同社はこれまで、電話やインターネットで受注したり、要望に応じて自宅を訪れ直接注文を聞いたりして買い物代行サービスを提供してきた。
新サービスでは30~40歳代の女性スタッフが少なくとも週1回、高齢者宅を訪問。買い物の注文を受けて商品を配達するほか、提携するクリーニング店への取り次ぎなども手掛ける。灯油など通常のスーパーで扱っていない商品も届ける。
顧客の親族らには、訪問するたびに顧客の様子をメールで伝える。この見守りサービスを希望する親族らは別途月880円を払う必要がある。その場合、親族らもご用聞きサービスを受けられる。
ココネットは2~3年後をめどに新サービスの対象地域を福岡市全域に広げる方針。福岡以外でも、名古屋や横浜などで同様のサービスを展開する計画だ。
農林水産省の推計によると、生鮮品を扱う店まで500メートル以上離れ、自動車を持たない「買い物弱者」は高齢者を中心に910万人いる。ネットスーパーも急速に広がっているが「インターネットを利用するサービスは高齢者にとって使い勝手が良くない」(河合社長)。
新サービスについて同社は、ビジネスを通じて社会問題を解決する「ソーシャルビジネス」と位置付けている。買い物弱者の高齢者の暮らしを総合的に支援したい考えだ。