人の動きを床で感知、高齢者見守り NECがシート状センサー
2013年11月09日日経新聞
NECは廊下や部屋の床に敷き詰めたシート状のセンサーで人の動きを感知する技術を開発した。人の影響による電波のわずかな変化を捉え、複数の人の足の位置や向きをリアルタイムで見分ける。高齢者の見守りサービスや防犯などの用途で、2015年度の実用化を目指す。
センサーとなるシートは厚さ1cm以下で、電波を出す配線をめぐらせた層や電波を検知する層などからなる。常に電流を流している配線から微弱な電波が出ており、人がシート上を通り過ぎる際に電波が変化するのを検知する仕組み。右と左の足を区別して、向きや動きを誤差1cm以下で把握できる。複数の人でも対応可能だ。実験では車いすや盲導犬、つえの動きまで分かった。
シートは広い部屋などに敷き詰めて使う。プライバシーへの配慮から監視カメラを設置しにくい病院や福祉施設での患者や高齢者の見守りサービスなどの用途を見込む。日が差すなど明るさが変化しやすくカメラが使いにくい場所でも役立つ。人の動きを赤外線で捉える方法もあるが、細かな動きを見分けるのは難しかった。
コストは圧力や赤外線などのセンサーを使う場合の数十分の1にできる見通し。NECは解析ソフトと合わせて、長さ20メートル、幅2メートルの廊下に導入する場合の費用を200万円以下にする目標だ。社内の機密書類の保管など向けに、カメラやほかのセンサーなどと組み合わせたシステムでも提供する計画だ。