孤独死トラブルで注目される「大家向け損保」
2013年10月05日東スポWeb
年々増え続ける孤独死が社会問題化し、部屋を片付ける特殊清掃士が話題になることが増えてきた。独りきりで誰にも気付かれず死んでいく寂しさの一方、清掃にかかる費用をめぐるトラブルが増えている。
清掃業者は「孤独死といっても天涯孤独な人ばかりではなく、実は身内がいる人も多いです。なかには近所に住んでいたりする。孤独死の連絡を受けて、業者は部屋に行き見積もりをしますが、そこで大家と遺族が負担をめぐって言い合いになるんですよ」と明かす。
孤独死の原因は心筋梗塞など急性の発作から自殺などさまざま。1人暮らしの賃貸アパートで亡くなるケースも多く、死後、部屋の原状回復が必要になる。そこで問題になるのが清掃費用だ。
「遺体の損傷が少ない場合はともかく、体液が床についていたりすると清掃費用が高くなる。部屋の広さにもよりますが100万円を超えることもある。遺族は『そんなお金は払えない』と言うし、大家も頭を抱えてしまう。結局、遺族と大家で訴訟ざたになることもあります」(前出の業者)
だからこそ注目が集まるのが大家向けの損害保険だ。「どっちが払うかという話になると、大家に分が悪い傾向にあります。万が一に備え、保険に加入する大家が増えています」(同)。保険に入っておけば、清掃費用などが軽減できるという。
「アイアル少額短期保険」が、孤独死に対応する保険「無縁社会のお守り」を扱い始めたのは2011年。担当者は「契約は戸室数で6000件を超え、支払ったケースは10件以上ありました」と話す。孤独死があった部屋の家賃保証が限度額200万円、原状回復が限度額100万円で、保険料は家賃によって異なるが、1戸室あたり月々500円以下だという。
「リスク等を計算した上で保険料を算出します。オーナーさんからは『使いたくなかったが、あってよかった』と反響がありました」(担当者)という。