見守りロボ スマホ活用 異常を介護者に通知
2013年10月03日西日本新聞
認知症などの要介護の高齢者が増加する一方、核家族化や少子化で高齢者世帯の老老介護や独居の要介護者は増えるとみられる。そうした人たちを支えるため、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末を活用した見守り型の介護・福祉ロボットが、9月に東京都内で開かれた国際福祉機器展に出品された。
福祉関連機器メーカーのテクノスジャパン(兵庫県姫路市)は、要介護者を見守るシステムTASCAL(たすかる)を開発した。
犬形のカバーで覆われた小型ロボット「パル」とセンサーを組み合わせ、要介護者がベッドから離れると画像を撮影し、スマートフォンなどに送信する。ロボットは電話にもなる。服用薬を時間ごとに光や音声で要介護者に知らせ、飲み忘れが続くとメールで家族らに知らせる機能もある。
コミュニケーションロボット「うなずきかぼちゃん」を発売している医療健康用品会社のピップ(大阪市)も、ワイヤレス充電や会話能力などで機能をアップさせた「見守りかぼちゃん」と小型コンピューター、センサーを組み合わせた見守りシステムを開発中だ。
要介護の高齢者の徘徊(はいかい)や室内の高温・高湿を検知すると、かぼちゃんが「どこへ行くの」「暑いよ」などと呼び掛け、ヘルパーや家族にメールで知らせる。センサーでトイレの回数や時間帯などの生活リズムを記録し、体調悪化を察知する機能も研究中だ。
ベッド上の要介護者の転落や離床を見守るロボットを開発中なのは、写真処理機器メーカーのNKワークス(和歌山市)。赤外線カメラがベッド上の人の動きを分析して「起き上がり」「端に座る」「柵を越える」「ベッドを離れる」の四つの行動を認識すると、タブレット型端末やスマートフォンなどへ知らせる。
要介護者の体圧変化に反応するマット型などの機器と比べ、寝返りなどでの誤検知が少ない。介護施設への導入を目指しているが、ニーズがあれば在宅向けの開発も検討するという。
遠距離介護に悩む人を支える活動をしているNPO法人パオッコの理事長、太田差惠子さんは「こうした機器は介護者の負担を軽くしますが、家族や介護者ら人のサポートは変わらず必要です。機械に拒否感があるお年寄りも多いので、必要性を理解した上で受け入れてもらうことも大切では」と話している。