高齢者見守り 警備員が訪問 成長市場 相次ぐ参入
2013年06月07日東京新聞
警備会社が実施しているお年寄りの安否確認サービスに、これまでの機械警備に加え、自宅訪問や電話確認を導入する動きが相次いでいる。「高齢者見守りサービス」への異業種からの参入が続く中、お年寄りの日々の健康状態を家族に知らせたり、電球の付け替えなどの困り事に応えたりと、きめ細かなサービスで利用者の心をつかもうとしている。 (伊東浩一)
セコムでは従来、異常発生時に高齢者が身につけたペンダント型のボタンを押して通報したり、家庭内にセンサーを設置して人の動きが一定時間なかった場合に警備員が駆け付けたりと、主に機械による見守りサービスを提供してきた。
だが、機械では異変が起きた後の対応しかできないため、離れて暮らす家族らから「日ごろのわずかな体調の変化も把握したい」との要望が寄せられていた。
このため、4月から社員らによる訪問サービス(月3990円)を導入した。月一回、高齢者宅を30分間訪問し、食事が取れているかなど体調の変化を聞き取り、結果を家族にメールで報告。時間内で掃除や洗濯といった家事も手伝う。
東急セキュリティも昨年12月から、機械警備を利用する高齢者を対象に、スタッフが月1050円で週1回訪ねるサービスを東京都世田谷区、品川区、横浜市などのそれぞれ一部地域で実施。健康確認ほか、買い物に苦労している利用者には、東急百貨店で扱う食料品を月5回、送料無料で届ける。
東亜警備保障(堺市)は数年前から、冷蔵庫の開閉状況から利用者の無事を確認するセンサーか、スタッフの訪問や電話による健康確認か、いずれかの見守り方法を選べるようにしている。担当者は「センサーは監視されているようで、敬遠する高齢者も多いため」と話す。
一人暮らしのお年寄りの増加を背景に、高齢者見守りビジネスの市場は拡大。調査会社シード・プランニングは、2010年の市場規模90億円が、20年には130億円まで成長すると予測している。
この成長分野を狙い、ガスや通信会社、家電メーカーなども、センサーなどを使った見守りビジネスに相次いで参入。旭リサーチセンターの赤山英子研究員は「競合が増える中、警備会社は人手を多く抱える強みを生かし、人による見守りで差別化を図ろうとしている」と分析している。