タブレットで高齢者の健康管理支援 ソフトバンク・KDDI
2013年05月08日日経新聞
ソフトバンクとKDDI(au)は一人暮らしの高齢者の健康管理を支援する情報サービスに乗り出す。タブレット(多機能携帯端末)で病院や介護施設と情報を共有して在宅診療・介護に役立てる実験をそれぞれ始めた。政府や自治体は高齢者の見守りや健康管理対策を拡充する方針で、両社は事業化を急ぐ。
ソフトバンクが構築するのは高齢者、病院、訪問介護拠点の3者がタブレットで健康情報を共有するシステム。自宅にいる高齢者はタブレットに血圧や体温など日々の健康情報を入力する。病院や訪問介護拠点は健康情報をもとに診療や看護で訪問するスケジュールなどを決める。病院はタブレットを使い高齢者と直接連絡し、遠隔診療することもできる。
実験では高齢者向けの在宅医療を手がけるGMJ(東京・荒川)と組み、同社が運営する東京都板橋区と宮城県登米市の診療所や協力関係にある医療機関の医師や看護師向けに計20台のiPadを配置した。高齢者の見守り機能なども開発し、2014年にも病院や介護事業者向けシステムとして事業化する方針だ。
KDDIは「サービス付き高齢者向け住宅」での利用を想定し、千葉県松戸市の施設を対象に入居者とヘルパー、外部の医師に計約30台のタブレットを提供。タブレットのテレビ電話で医師が施設に訪問しなくても入居者の健康相談に応じる。来年以降の事業化を狙う。
総務省は4月、医療や介護などの高齢者対策に先端の情報通信技術を活用した場合、20年時点で1年間に最大23兆円規模の経済効果を見込めるとの推計をまとめた。