孤独死センサー:独居高齢者の異常検知

2013年03月12日毎日新聞

 1人暮らしの高齢者の異常を未然に検知する「孤独死センサー」を、松本循環器クリニック(東京都新宿区)の松本博志院長(75)が開発した。手首に付けたセンサーで血管の振動を監視し、体調の変化をキャッチする仕組み。松本院長は「孤独死の防止に加え、健康状態の把握に役立つ」と話す。

 センサーは1センチ角の正方形。血管の振動回数が、「人が動けなくなる」とされる1分間に40回以下の場合と、120回以上になった場合を「異常」としてとらえる。

 工学博士でもある松本院長は、橋などの土木構造物の微妙な揺れで検知する「ひずみセンサー」を応用し、血管の振動を計測できるセンサーを完成させた。今後は腕時計型に改良するとともに、異常を検知した時に、電波で親族や医療機関、自治体などに配信できる仕組みを作るという。

 ニッセイ基礎研究所によると、年間の孤独死者数は「自宅で死亡し、発見まで2日以上経過」とした場合、約2万7000人と推計している。【鳥井真平】