高知高専が独居高齢者見守りシステム 地元VBと
2013年02月05日日経新聞
高知工業高等専門学校(高知県南国市)は地元ベンチャーなどと共同で、独居高齢者の見守りシステムを開発した。部屋の温度や湿度などの情報を監視し、離れた場所にいる家族の多機能タブレット端末で確認できる。県内の自治体などでつくる官民組織で成果を披露し、2年後の商品化を目指す。
高知高専の今井一雅教授の研究室と高知県工業技術センター、制御開発技術の恵比寿電機(高知県土佐市)が開発に参加した。総務省の補助事業に基づき2年間で2000万円の助成を受けた。
システムはインターネットの次世代規格「IPv6」に対応する。高知高専が開発した通信機能を備えた「高知IPv6マイコンボード」を使う。高齢者宅に温度・湿度センサー、人体感知センサーを設置し、家族側に情報を伝える仕組みだ。
IPv6の場合、これまでのインターネット環境では難しかった計測制御ができるのが特徴。温度分布や温度変化など膨大なデータを解析することで、高齢者がどういう状態で生活しているのかを判定できるという。
データの蓄積ができれば高齢者の体調を数段階で判定し、家族側の端末にニコニコマークなどで表示することも可能になるという。仮に人体感知センサーの反応が一定時間なければ急病などが発生した可能性も察知できる。
高齢者宅の端末から「元気です」「調子が悪いです」などの画面内に用意したコメントに触れるだけで、家族にメッセージを伝達できる仕組みを考えている。
価格は未定だが、タブレット端末を除くマイコンボードとセンサーのユニットは10万円以内で販売できるという。
今後、土佐町、梼原町、馬路村や県内の建設関連団体などでつくる「こうち健康・省エネ住宅推進協議会」に、県内の中山間地域での実証実験を提案する。協議会の参加企業が中心となって商品化を目指してもらう。
インターネットの次世代アドレス「IPv6」を使った本格的なサービスは昨年6月、世界で始まったが、国内のネットユーザーの利用率は2%程度。本格的なIPv6環境が整えばスマートフォン(スマホ)からも高齢者の安否が確認できるという。