情報通信活用 高齢者見守り 岩見沢市

2012年11月07日朝日新聞

■岩見沢で北大院がシステム研究
■無医地区で体調管理や相談

 岩見沢市内で情報通信技術(ICT)を活用してお年寄りの毎日の活動量を把握し、健康増進などにつなげるシステムの研究開発が今月からスタートする。医師が不足し、高齢者の割合が多い地域への支援拡大の一環で、北海道大大学院の保健科学研究院が市の協力で実施する。

 研究開発が始まるのは同市北村地区。65歳以上の高齢者が33%と高いうえ、診療所が2008年3月に休止となった。

 住民が身近な所で健康や医療の支援が受けられないため、市は今年度、健康支援を開始。北村支所に相談コーナーを設け、市保健センターと相談出来るテレビ会議システムを設置したほか、週3日、保健師を配置した。主に支所そばの北村温泉から帰宅するお年寄りが、支所でバスを待つ時間を利用して保健師に血圧測定などをしてもらい、健康保持の注意を聞いたりしている。

■遠隔地とつなぐ

 保健科学研究院の研究開発は、この支援事業を拡大する形で行われる。高齢化率30%超・寒冷豪雪・無医地区における、健康意識の改革と遠隔見守りを可能にする相談システムを開発するのが目的だ。

 具体的には、健康機器メーカーの携帯型の活動量計を、独り暮らしの高齢者を中心に約50人に配布。活動量計は身につけて動くだけで、敏感にエネルギー消費量(カロリー)を記録し、2週間分蓄積できる。収集したデータは、保健師と連携して個人の健康情報として保存し、健康相談などに活用する。健康の自己管理意識を改革してもらうため、定期的にミニ健康講座も実施する。

■ゲーム機を操作

 また住民2人を対象に、この事業用に開発中のカメラ付きの高機能のゲーム機を配布し、自宅でゲーム機とテレビをつないで操作してもらう計画も進めている。保存データをやりとりしたり、保健師らとテレビ会議方式で体操などの健康法や、食事のアドバイスなどが受けられるようになる。将来的には、安否確認などにも活用していきたいという。

 北村地区は高齢化率が全国平均を約10%幅超えているうえに、降雪量が多い特別豪雪地域に指定されている。地区では健康面の維持・増進だけでなく、生活支援が緊急課題となっていることなどから、研究開発の対象地域に選ばれた。岩見沢市がICTの利活用に積極的なことも考慮した。研究期間は2年間で、初年度の今年は、総務省補助1千万円を活用する。

 今月中に対象地区の老人クラブで説明会を開き、活動量計は12月に配布する予定だ。市は「高齢化が進んだ豪雪地域は万字地区など市内に他にもあり、そうした地区でも使えるようにしたい」と、効果に期待している。
(高橋賢司)