【木暮祐一のモバイルウォッチ】第16回 「みまもりホームセキュリティ」……社会に役立つモバイル機器連携に期待

2012年11月04日ReseMom

 携帯通信事業者各社では2012冬モデルの新製品ラッシュであるが、ラインアップはいずれも高機能なスマートフォンやタブレット端末が中心であり、iPhoneに代表されるように同型モデルが複数の通信事業者で発売されるケースも多いだけに、賑やかではあるものの目新しさは薄れつつあるように感じている。

 むしろスマートフォン中心の商品構成に、少々違和感さえ感じるこの頃である。各通信事業者には、スマートフォンばかりでなく、機能を絞ったフィーチャーフォンや特定の用途に絞ったローエンド端末もバランスよくラインアップして欲しいと願うようになってきた。

 今回はそうした特定用途の端末の一例として、ソフトバンクモバイルの「みまもりホームセキュリティ 101HW」をご紹介したい。筆者は今春この端末を入手し、愛用している。この端末は写真をご覧いただければわかるとおり、家庭に設置するホームセキュリティ端末である。ソフトバンクモバイルと回線契約し、家庭に設置したセンサーに万が一異常が生じると、本体のアラームが鳴動するとともに、指定したケータイやスマートフォンへ異常発生のSMSを送信してくれる。ホームセキュリティといえば、セコムやALSOKなどがセキュリティシステムを提供してきたが、それらのセキュリティに準じるシステムを安価に設置、運用できるのである。

 ソフトバンクモバイルでは、「みまもりホームセキュリティ専用」の料金プランを用意し、基本使用料は月額490円(税込)である。さらにみまもりホームセキュリティ契約者向けのオプションとして、セントラル警備保障と提携した「CSPみまもりアシスト」があり、月額525円(鍵預け無しプラン)または月額840円(鍵預け有り)で、万が一の場合に警備員が駆けつけてくれるサービスが用意されている。警備員が出動した場合は出動料が1回につき5,775円かかるが、一般的なホームセキュリティ会社の利用料に比べれははるかにリーズナブルであるし、筆者もこの数年、1度もホームセキュリティの出動に頼ったことは無かったので、このソフトバンクモバイルの「みまもりホームセキュリティ」によって自宅のセキュリティ経費を大幅に圧縮することができている。

 価格はオープン価格となっているが、筆者が購入した際(今春)は本体が23,520円(開閉センサー・リモコン各1個付き、24回の分割払いも可能)、追加の開閉センサーが1個4,080円だった。窓やドアの数だけ開閉センサーが必要なので、多少出費はかかるが、運用費を考えればホームセキュリティ会社のそれらよりも安価である。

 設置は簡単で、窓やドアの開閉部にセンサーを取り付け、本体と接続設定を済ませればOK。本体とセンサー、リモコン等の通信は426MHzの特定省電力無線を使って接続される。電波到達距離は最大100mということなので、一般的な家庭であればどこにセンサー設置しても本体で認識できるだろう。センサーとリモコンは最大16台までペアリング可能である。

 本体は、背面にスタンドがついており、リビングなどに置いて使用することも可能だが、使い勝手を考えると玄関近くに設置した方が取り回しが良さそうだ。せっかくなので筆者はホームセキュリティらしく玄関近くの壁面に取り付けてみた。ACアダプターで給電する必要があり、電源ケーブルの取り回しがやや悩ましいが、壁内にうまく引き込むことで美しく仕上げた。

 単純な端末のようだが、セキュリティ関連では便利な機能が満載だ。「外出」ボタンを押せば外出モードが起動し、センサーが異常を検知した場合にプレアラーム(多少音量が低いアラーム)が鳴動し、暗証番号入力がなければアラームはさらに大音量で鳴動するとともに直ちに異常の通知がSMSで送信される(隣近所まで確実に届きそうなアラームだ)。解除用の暗証番号とは別に、子ども専用の暗証番号を設定することで、その暗証番号で解除した場合に「帰宅通知」のSMSを指定のケータイやスマートフォンに送出するという「帰宅通知」機能もある。

 在宅中の侵入検知用には「在宅」モードがあり、これを設定しておくと異常検知でで直ちに大音量アラームが鳴動する。また「みまもりモード」という機能もあり、これは設定した一定時間内にセンサーが動作を確認した場合には「異常なし」とし、センサーが一切動作しなかった場合にSMSで通知がされるというものである。高齢者の見守りなどに活用できる。緊急地震速報にも対応し、速報を感知した場合はアラームが鳴動する。

 本来、ケータイやスマートフォンなどのモバイル端末は持ち歩いて利用するからこそ、その無線通信機能が活きてくる訳だが、この「みまもりホームセキュリティ」は在宅で利用され、モバイル機器と通信することでその役割を果たす端末である。在宅で利用するモバイル機器といえば通信機能付きフォトフォレームなどという製品もあったが、みまもりホームセキュリティはフォトフレーム以上に社会に役立つ在宅用モバイル連携機器だと感じる。新規回線契約数を数字上延ばすという目的でフォトフレームを配布しているならば、よほどみまもりホームセキュリティをタダ配りしたほうが社会のためになるのではないだろうか(いずれもARPUが向上するわけではないので、積極的に取り組まないことはわかるのだが)。
《木暮祐一@RBB TODAY》