東建コーポ、在宅介護大手と提携 賃貸物件でサービス
2012年10月30日日経新聞
東建コーポレーションは在宅介護大手のジャパンケアサービスグループ(東京・豊島、馬袋秀男社長)と提携、賃貸物件に入居する高齢者向けのサービスを始める。東建コーポが管理する賃貸物件の入居者を対象に携帯電話を使った「見守り」や家事代行などのサービスを提供する。20~30歳代が中心の入居者層を広げ、賃貸物件の入居率向上につなげる。
まず埼玉県越谷市を中心としたエリアの約400棟(約3千戸)を対象に試験導入する。提供するのはソフトバンクグループの「みまもりケータイ」を利用した24時間対応の見守りサービス(月額1575円)のほか、調理補助や電球交換などの家事代行など。各種イベントや教養講座も開催する。
ジャパンケアの事業所の従業員が周辺の賃貸物件に出向いて各入居者が要望するサービスを提供する。入居者からはサービスの利用に応じ料金を受け取る。物件のオーナーに新たな費用負担は生じない。
1年以内に埼玉のほかの市町村や千葉や神奈川などに対象エリアを順次広げる計画だ。また将来は、1階にジャパンケアの事業所が入居する賃貸物件を建設し、エリアのサービス拠点とすることも検討する。
東建コーポが管理するのは8~10戸程度の小規模物件が多く、個別の物件ごとに業者と提携するのは難しい。同社はまとまった戸数を1つのエリアとすることで、今回のようなきめ細かなサービスができるとみている。
厚生労働省のまとめによると、埼玉、千葉、神奈川は2002~15年にかけての高齢者人口の増加率が都道府県別で全国1~3位を占める。高齢者単独の世帯も増加傾向にあり、一連のサービスへの需要が高いと判断した。
東建コーポはサービス導入にあわせて、これまで曖昧だった高齢者の入居基準を新たに設けた。一定年齢以上の入居希望者には万一に備えて身元引受人の提示などを求める。物件のオーナーが懸念する高齢者の入居トラブルを防ぐ狙い。
同社が管理する賃貸物件は全国に約15万戸あるが、入居者は20~30歳代の単身者や夫婦が多い。入り口から室内までの段差をなくしたバリアフリー物件の展開も進めており、高齢者向けのサービスとあわせて提供することで入居者層の拡大を急ぐ。