自宅訪れ世間話や安否確認、広がる見守りサービス 鉄道事業者など参入/神奈川

2012年10月26日神奈川新聞

 民間事業者の間で、高齢者の見守りサービスを展開する動きが広がっている。鉄道事業者、食品宅配事業者などさまざまな業界が参入しており、中には“現代版御用聞き”といったサービスも。本格的な高齢社会の到来に向け、市場規模の拡大が予想されている。

 東京急行電鉄は12月からシニア定期訪問サービス(月額1050円)を始める。子会社の東急セキュリティが展開する高齢者見守りサービス(同4515円)の利用者が対象。専門スタッフが毎週1回決まった曜日・時間に自宅を訪れ、世間話などをする。家具の移動など5分ほどの軽作業であれば無料で請け負うという。

 「いわば現代版御用聞き」と東急電鉄。希望があれば、離れて暮らす家族へ在宅確認のメールを送るサービスも。横浜市青葉区、川崎市宮前区などで先行実施し、2013年をめどに沿線全域に拡大する計画だ。「沿線価値の向上が狙い。現在約千件のサービス利用者を2割ほど増やしたい」と担当者は意気込む。

 行政と連携して見守りサービスを行う動きも。コープかながわは11年8月、横浜市との間で「高齢者等買い物サポート事業」に関する連携協定を締結。配送スタッフが、前回届けた商品がそのままになっているなどの異変に気付いた場合、事前に預かった緊急連絡先に連絡を入れる仕組みを整えた。ことし10月からは県とも連携、県内全域で見守りサービスを始めた。

 スタッフが配送時に利用者の救助活動を行う事例がこれまでも年間30~40件程度あったといい、担当者は「こうしたサービスの重要性は今後、ますます高まるのでは」と話す。

 市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングは、10年度の高齢者向けの緊急通報や見守り・安否確認サービスの市場規模を、約90億円と推測。「今後も多様化するニーズに対応しながら発展していく」と見込んでおり、15年度は116億円、20年度は132億円に達すると予想している。