IT活用事業、効果は? 検査院が総務省に指摘
2012年10月20日日経新聞
2700万円のメール配信システムが使われていないのに、市は把握せず、改善もなし――。インターネットなどの情報通信技術を利用して地域活性化を図る総務省の交付金事業のうち、18道府県の179事業を会計検査院が調べたところ、約半数の92事業で十分な効果が出ていないことが20日、分かった。
92事業への交付金は2009~11年度で計約47億1千万円。検査院は「ニーズや利用状況の把握が適切になされなかった」と指摘。甘い見通しによる公金支出が露呈した形の総務省は「適切に対応したい」としている。
北海道白老町は、事業費約7千万円で操作が簡単な携帯電話計70台を高齢者に貸し出した。だが音声ガイダンスに従い買い物宅配を申し込むサービスの利用件数は、目標の約1割に低迷。同町は「安否確認に役立っている機能もあり、現在の貸与数は115台に増えている」と説明している。
大阪府泉南市では、14の小中学校で保護者向けメール配信などができるシステムを約2700万円で整備した。うち5校は「連絡は電話で十分」と利用しなかった。ところが市は学校の状況を把握しておらず、改善に取り組んでもいなかった。
約7300万円で在宅医療体制を整備した富山県射水市。自宅ベッドに設置して心拍数などを測るセンサーを13台導入したが、患者の同意が得られず5台は使われなかった。静岡県沼津市の特定非営利活動法人(NPO法人)はIT歩数計を使い、歩数に応じたポイントを地域特産品と交換できるシステムを約5400万円でつくったが、協力店舗が閉店しポイントを交換できなくなった。〔共同〕