高齢者の見守り、安静時も OKIが新技術

2012年10月05日日経新聞

 OKIは一人暮らしの高齢者を見守る技術を開発した。電波を活用し、急な転倒や呼吸の変化、静かに座ってテレビを見ている状態など、屋内での詳しい状況が判別できる。従来は赤外線で見守るのが一般的で、じっとしていると正確に判別ができない例もあった。まず病院や介護施設など向けに来年度の実用化を目指す。

 試作した装置は手のひら大で、リビングや風呂場、トイレの壁などに取り付けて使う。24ギガ(ギガは10億)ヘルツの電波を出し、人に当たって跳ね返ってきた電波を分析する。人の動作によって電波の跳ね返り方が違うため、急な動きから呼吸のような小さな動きまで検出可能だ。電波が回り込むので本棚などがあっても対応できる。

 カメラを使わないためプライバシーに配慮できる。緊急事態が起きたとシステムが判断したら、病院・施設の職員や離れた場所に住む家族などに素早く知らせる。コストは従来システムとほぼ同じという。

 一戸建て住宅で実験したところ、人がいない状況、安静状態、動き回っている状態をそれぞれ約9割の確率で正確に判別した。睡眠時の寝返りパターンや呼吸の変化から、眠りの深さや無呼吸の推定もできる。日々の活動量や睡眠の質を分析し健康管理にも役立つとみている。

 従来の見守り技術は温度の変化を調べる赤外線センサーが一般的。人がいるかの判定が主で、じっとしていると無人と誤る例も多かった。厚生労働省の調査によると、国内の一人暮らしの高齢者世帯は約500万世帯に達しており、今後も増加が見込まれている。