「スマート家電の主役は冷蔵庫」、東芝が描く未来のくらし
東芝の考える“スマート”な冷蔵庫は、大型のディスプレイを前面に配置するとともに、バイタル情報を読み取る各種センサーや、ネットワーク機能を内蔵。調理の補助はもちろん、家族の健康管理から、快適なくらしのサポート、さらには防犯や、離れて生活する高齢の親の見守りといった、さまざまな機能を提供する。
2012年10月04日EE Times Japan
スマート家電の主役は、リビングのテレビではなく、キッチンの冷蔵庫だ――。東芝は、「CEATEC JAPAN 2012」(2012年10月2~6日、幕張メッセ)で、同社が描く「未来のスマート家電」の姿を見せている。その主役に同社が据えるのは、旧来の家電で“情報の窓口”の役割を担ってきたテレビではない。家族の健康と安全・安心を守って快適な生活を送れるようにサポートするには、冷蔵庫こそが適任だという。家電の最大のユーザー層である主婦にとって接触頻度の高い冷蔵庫を中心に、スマート家電がある未来のくらしを提案した。
東芝の考える“スマート”な冷蔵庫は、情報端末としての役割を果たせるように、前面にある扉に比較的大型のカラーディスプレイを搭載する。さらに、東芝グループが提供するホームITシステム「フェミニティ(FEMINITY)」を介して、家庭内のさまざまな機器や、インターネット上の各種サービスに接続できる機能を備える。
例えば、主婦がキッチンで食事の支度をする際には、この冷蔵庫と音声で会話しながら調理を進められるという。インターネット上のクラウドサービスを介して音声認識と音声合成処理を実行し、ユーザーが検索して選んだ好みのレシピに沿って調理手順を音声でガイドする。機器の複雑な操作は不要である。
このほか、同様にクラウドサービスを活用して、家電の使用状況からユーザーの家庭の生活パターンを分析し、快適な生活を支援する機能も提供する考えだ。例えば、朝の起床時間帯には、自動でエアコンの温度を調節したり、テレビをつけたり、照明を調整したりすることで、気持ち良く目覚められるようにサポート。帰宅する時間帯に合わせて、洗濯を終えたり、ロボット掃除機による清掃が完了したりするように調整する。冷蔵庫自体についても、庫内の食材を画像認識で把握して自動的に管理したり、健康管理情報や食材情報などからお勧めのレシピを提案したりする。
健康管理については、冷蔵庫にセンサーを搭載し、顔色や体温、血圧、血流、脈拍、体脂肪率、体重などを測定する。「主婦のみならず、生活者であれば皆、毎日のように冷蔵庫の前に立つ機会がある。そこでバイタル情報を読み取れば、自動的に毎日、健康状態をチェックすることが可能だ。意識せずに継続して健康管理ができる一方、日々の経緯をグラフで“見える化”することもできる」(同社の説明員)。こうして蓄積した健康情報を基に、クラウドサービスを介して医師から健康に関するアドバイスを受けるといったことも可能になるという。
さらに、防犯や、離れて生活する家族の見守り機能もこの冷蔵庫に集約する。防犯機能については、例えばユーザーが不在の際に、冷蔵庫が“司令塔”になって室内照明や門灯を制御し、点灯させることで在宅しているように見せかけたり、ユーザーが遠隔から施錠を確認したり戸締りを操作したりできる。見守り機能では、クラウドサービス経由で高齢の親の宅内にある家電の操作履歴を参照し、日常との異変を察知して通知したり、その際にテレビ電話機能を使って親に声をかけたりすることが可能になると説明した。