ミヤプロ、タブレットで高齢者見守り 高松で実証実験
2012年10月03日日経新聞
印刷・デザインのミヤプロ(高松市)はタブレット(多機能携帯端末)を使った高齢者見守りサービスのシステムを構築した。今月後半にも、高松市の中心市街地、丸亀町商店街で実証実験を始める。血圧など日々の計測データを医療機関に送り、健康チェックができるようにするとともに、送信の有無が安否確認も兼ねる仕組み。実証実験と並行して離島などを抱える自治体や医療機関にシステムを売り込む。
同社と鉄鋼商社のアムロン(高松市)が新会社「ミ・マモーレ」を設立。この会社がシステムの運営を担当する。システムの名称は「タッチde見守り隊」。
タブレットは血圧計や体重計と近距離無線、ブルートゥースで結び、毎日の数値がクラウドサーバーを通じて医療機関に送られる仕組み。数値に異常が出たり、健康に不安があったりした場合、テレビカメラ機能を使って医師が問診する。
高齢者の見守りサービスとしては、毎朝測る血圧データの送信の有無を利用。このデータは、東京などで離れて暮らす子どもや近所の知り合いなどにも送られ、親の健康状態などが把握できるようになっている。
10月後半からの実証実験では、丸亀町商店街の定住人口促進を目指して設立された「美術館北通り診療所」と結ぶ。老々介護や独居など高齢者10人弱の自宅にタブレットを配置。利用者の使い勝手などを調べ、改良を加えていく。高齢者の見守り対策を検討していた丸亀町商店街からの持ちかけで、同商店街での実証実験が決まった。
同診療所の瀬尾憲正院長は「体調悪化を訴えた時など、診療所に来てもらうべきか、在宅でも対応できるかなどが分かる。在宅だが、常時見守りが必要な高齢者世帯に効果を発揮すると期待している」と話す。
同社では実証実験後は、スーパーなどとも結んで、買い物が困難な高齢者の支援や行政情報の提供なども組み込んでいく考え。費用は実証実験ではタブレットなどの機器が1人分5万~6万円、システムの月額使用料が同5000~6000円(問診料は含まず)。補助金などでまかない、利用者負担はない。
特に、高齢化率が高く、医療機関が充実していない離島などに需要があるとみており、3年後に約2000万円の売り上げを目標にしている。
ミヤプロはチラシや商品パッケージのデザイン・印刷会社として1976年に設立。2011年7月期の売上高は約3億5千万円。近年、IT(情報技術)部門にも進出していた。