高齢者見守り事業:いすみ市開始 全国初、設置の緊急電話でAED車出動 / 千葉

2012年10月01日毎日新聞

 いすみ市は10月からAED(自動体外式除細動器)搭載車を使った全国初の「高齢者見守りあんしん電話事業」を開始する。身体に不安のある1人暮らしの高齢者のケアを強化するのが目的。市によると現在、市の高齢化率は33.1%に上り、人口の3人に1人が65歳以上の高齢者となっている。そのうち、約2900人が1人暮らしといい、在宅時の急病やけがに加え、孤独死の不安を抱えているという。【吉村建二】

 この事業は民間警備保障会社に委託する。「見守りあんしん電話」装置を高齢者の自宅に無料で設置。急病などの緊急時に装置の緊急ボタンを押すと、委託業者がAEDを搭載した車両で駆けつけ安否を確認し、必要に応じて救急車の出動要請を行うというもの。

 装置は、生活反応を把握するため、主にトイレに設置する。ドアの開閉を関知するセンサーが常に利用者の動きを感知。24時間一度も人の動きがない場合は異常と判断して、自動的に警備保障会社の受信センターに通報される仕組みだ。平常時には装置の電話による健康相談、介護相談などができる。現在、消防署に直結する緊急通報装置を順次切り替えていくという。

 市は「AED搭載車による心肺蘇生の初期対応の取り組みは、高齢者の日常生活の不安軽減につながる」としている。同事業に並行して65歳以上の1人暮らしの高齢者には「救急医療情報キット」を無料配布する。