安全・安心も届けます 県内、高齢者向け宅配弁当が人気 / 徳島

2012年09月12日徳島新聞


 高齢者向けの宅配弁当サービスが徳島県内で広がりを見せている。調理や買い出しの手間が掛からない上、配達時に安否確認をしてもらえるのが好評の理由。一人暮らしの高齢者の増加で市場は拡大を続けており、業者はメニューに工夫を凝らしたり、宅配時に身の回りの手伝いもしたりと顧客獲得にしのぎを削っている。

 全国で1日25万食を提供する大手のワタミタクショク(東京)は、昨年7月から県内4カ所に相次ぎ営業所を開設。現在は12市町で日替わり弁当を週5日間届けている。

 地元業者は県産食材へのこだわりを強調。徳島市のエイブルフーズは欧風産直市・とくしまマルシェで販売されている野菜を使う。北島町のとくしま生協も地元食材を用いるほか、食材をすべて加熱するなど安全・安心をうたう。

 宅配弁当を利用している山口忠さん(77)=徳島市吉野本町5=は「2年前に妻を亡くし、料理ができないので困っていた。弁当はカロリー控えめで、糖尿病の私に合っている」と満足そう。

 宅配に加えてきめ細かなサービスを売りにしている業者も。全国にフランチャイズ展開しているニコニコキッチン、宅配クックワン・ツゥ・スリー、まごころ弁当は夕食に加え昼食を用意し、1食からでも注文を受け付ける。またニコニコキッチンは、配達員が弁当を届けた際に電球交換など身の回りの手伝いも引き受けている。

 安否確認は、ほぼすべての業者が行っている。配達時に万が一のことがあれば、あらかじめ聞いてある連絡先に電話したり救急車を呼んだりする。ニコニコキッチン徳島北店の由良健一店長(41)によると、認知症の客が倒れているのを助けたことや、家の中で亡くなっているのを見つけたことがあるといい「家族からは感謝されています」と笑顔を見せた。