NTT西と長崎県、テレビに高齢者向け情報 リモコンで安否確認
ネット活用し支援事業

2012年08月24日日経新聞

 NTT西日本と長崎県は9月から、インターネットを活用した高齢者支援事業を始める。テレビをネットに接続できる専用機器を同県新上五島町の支援対象世帯に導入。町役場や町内会などの情報を提供するほか、定期的に居住者の安否も確認する。国内での急速な高齢化を踏まえ、同町での取り組みを分析した上で、同社は西日本の他地域でも事業化を進める。

 専用機器は同社の「光ボックス+」。テレビに接続すると、リモコン操作によってテレビ画面上で動画サイトなどを利用できる。

 高齢者支援事業では画面上に台風情報や船舶運航状況などを表示。町内のゲートボール大会の開催概要や雑草取りの呼び掛け、移動販売車の運行スケジュールといった地域情報もきめ細かく提供する。

 画面上には安否確認用ボタンも定期的に表示。リモコン操作でボタンを押すと、安否確認メールが最大5カ所に自動送信される仕組みだ。

 専用機器はNTT西日本から長崎県が購入。同県は新上五島町津和崎・米山地区の全71世帯に対し、機器を無償提供する。同町は機器の設置や利用方法などについて相談を受け付ける専門支援要員を配置する。

 NTT西日本が高齢者支援事業を手掛けるのは今回が初めて。長崎県は「各世帯にあるテレビを活用することで、高齢者にも簡単に操作できる」とみている。

 津和崎・米山地区は65歳以上の高齢者人口が全体の約45%を占め、全国平均(約23%)の2倍に達する。九州では福岡(約22%)を除く各県で全国平均を上回っている。

 NTT西日本は高齢化が進む他地域でも高齢者支援事業を展開できるとみており、今回の事業の動向を見極めた上で、実施地域の拡大に踏み切る考えだ。同社は同事業を通じ、光回線の普及につなげる。