高齢者「見守りテレビ」 使用状況で安否確認…埼玉
2012年07月19日読売新聞
北本市とシャープが連携
高齢者の孤立死を防ごうと、埼玉県北本市は家電大手「シャープ」(本社・大阪市)と連携し、テレビの使用状況で高齢者の安否を確認する「見守りテレビ」の実証実験を18日、同市栄の北本団地で開始した。
あらかじめ登録した個人宅のテレビの使用状況が、インターネットの専用サイトに反映され、それを市と自治会がパソコンで見て、安否確認する。今回、実験に参加するのは65歳以上の単身、あるいは夫婦で同団地に暮らす18世帯。18日午後から、同社製の液晶テレビの設置が始まった。
「見守りテレビ」では、住人がスイッチを入れると、画面に、現在の自身の体調について「よい」「ふつう」「いまひとつ」から選んで答えるアンケートが、自治会のお知らせと併せて表示され、住人はそれに回答する。外出を知らせる「おでかけ設定」もできる。
市高齢介護課の担当者と団地自治会の会員が、それらの状況を専用サイトで随時見て確認する。テレビ不使用が長時間続く場合、自治会が訪問するなどの対応をとる。
実験に参加した上武信次さん(77)は妻と2人暮らし。「市や自治会が見守ってくれていると思うと安心。操作も簡単」と笑顔を見せた。この日、団地近くの自治会事務所で実験参加者のテレビ使用状況を確認した佐藤利彦自治会長(71)は、「ここは昭和40年代に建てられた団地で、高齢化への対応が課題。テレビは毎日使うものなので、高い見守りの効果を期待しています」と話した。
実験は9月末まで続け、市は結果を基に、導入するかどうか検討する。石津賢治市長は「数年前に北本団地で一人暮らしの高齢者が亡くなり、自治会や民生委員と、見守りの方法について相談していた。テレビで見守りができれば有効だと考える」としている。