「外出なし」高齢者26%…孤立死で東京・立川市調査
2012年06月20日読売新聞
東京都立川市の都営アパートで3月、認知症の女性(95)と娘(63)が死後約1か月たって発見された問題で、市は19日、要介護認定を受けながら介護サービスを利用していない高齢者を対象に行ったアンケート結果を、市議会に提出した。調査結果から、外出や近所付き合いがほとんどない人がいることも分かった。市は12月までに、見守りシステムの方向性についてまとめる方針だ。
市は3月末、親子と同様のケースを把握するため、独居、同居を問わず、高齢者1034人に調査票を郵送していた。
アンケート結果によると、回答があったのは763人、回収率は73.8%。このうち、独居と高齢者のみ世帯は423人だった。買い物や病院に行くなど定期的な外出の有無について約26%が「ない」と答え、近所付き合いの頻度は、約16.8%が「ほとんどつきあいがない」と回答。
介護サービスを利用していない理由(複数回答)について、「入院中」が266人と最も多かったが、「利用料支払いが困難」(41人)、「利用方法がわからない」(34人)といった答えも。市高齢福祉課では、緊急性が高いと判断した場合、地域包括支援センターにつなぐなどの対応を進めている。
転居などで返戻された28人と未回収の243人についても、市職員や地域包括支援センターが電話や訪問で現状を確認した。
また、高齢福祉課で4月から、安否確認の連絡が寄せられた際、通報内容や確認した情報を記録し、対応の判断根拠となるシートの使用を始めたことなども報告された。一方、社会から孤立するリスクのある世帯の情報を庁内全体や自治会と共有することについて、市は「個人情報の問題もあるので、十分な検討が必要だ」と述べた。
◇ごみ収集時に安否確認、東村山市が協定
東村山市は19日、高齢者などの見守りに関する協定を、ごみの収集業者で構成する「市環境整備事業協同組合」と結んだ。市では、ごみの戸別収集を実施しており、業者は今後、ごみ出しを通して高齢者や障害者の安否確認を行い、孤独死や孤立死を防ぐ役割を担うことになった。
業者は毎週収集される「燃やせるごみ」「容器包装プラスチック」の日を中心に、週3回程度の見守りを行う。4~5回続けてごみが出ていない家について、業者が「地域包括支援センター」に連絡、センター職員や市職員が直接訪問するという。
ただ、集合住宅については、ごみが集積場所に集められているため、戸別に見守ることはできない。
同市は、65歳以上の老年人口が22.4%(2011年10月現在)と年々増加傾向にあり、特に高齢者世帯の安否確認が課題となっていた。