悩みや愚痴の「聞き役」需要増 富山の奉仕団体、昨年1973時間 / 富山

2012年06月13日富山新聞

 悩みや愚痴をひたすら聞く「傾聴(けいちょう)ボランティア」の需要が富山県内で高 齢者を中心に拡大し、富山市の奉仕団体「ピアの会」の昨年の傾聴時間は発足時の4倍の 約2千時間に上った。需要増の背景には核家族化、近所付き合いの希薄化で話し相手を求 めるお年寄りの増加があり、同会は増える一方の傾聴依頼に応えるため、会員増に積極的 に取り組む。
 ピアの会は2006年、約30人で結成。「悩みや愚痴などを自由に話してもらい、自 らは聞き役に徹する。進んで助言はしない。聞いたことは絶対口外しない」を決め事に、 富山市社会福祉協議会を窓口に老人福祉施設や地域サロンなどでの傾聴ボランティア活動 を始めた。

 当初の傾聴時間は年間400~500時間(1日平均1.4時間)。口コミなどで活動 が認知されてきたこともあり、10年は29施設、個人宅26軒での利用で計1782時間(同4.9時間)、11年は41施設、33軒で計1973時間(同5.4時間)に上 った。

 ピアの会によると、傾聴を求める人の9割は女性で、うち約8割が70歳以上。1人が 1時間前後話す。家族や昔の思い出話が多いが、時に軽度の認知症を抱えた人や自殺を考 えている人からの依頼もある。このため、月に1回開く定例会に合わせ、医師などの専門 家を招き、認知症、うつ病に理解を深める勉強も始めた。

 同会の能作靖雄代表(74)=富山市山室=は、医療技術の向上で平均寿命が延びる一 方、独り暮らしを余儀なくされる高齢者が今後さらに増えるとし、傾聴の需要もますます 高まるとみる。能作代表は「話すうちに表情が明るくなる人は少なくない」と傾聴の意義 を強調する。

 現在、傾聴に当たる会員は女性を中心に40~80代の約80人。会は富山市社会福祉 協議会が実施する傾聴ボランティア養成講座を通じて会員の拡大を図る考えで、能作さん は「富山市以外でも団体ができるよう働き掛け、お年寄りが元気になる手助けをしたい」 と話している。