50歳の同窓会で会ったら、男性の5人に1人が独身!?
若者まで孤独死を恐れ始めた「生涯未婚時代」の衝撃

2012年06月11日ダイアモンド・オンライン

結婚したくても結婚できない!
男性の5人に1人が「生涯未婚」の衝撃

 いよいよ訪れた「ジューンブライド」の季節。幸せな結婚式を挙げ、未来への希望に胸を膨らませているカップルも多いことだろう。しかし、世はまさに「結婚氷河期」の時代。未婚・晩婚化に歯止めがかかる気配がなく、生涯未婚率もうなぎ上りの状況だ。

 6月5日に閣議決定された平成24年版『子ども・子育て白書』によると、男性の生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値であり、50歳時の未婚率)は20.14%で過去最高。実に5人に1人が生涯未婚であるという恐ろしい結果となっている。つい30年ほど前の1980年には2.60%だったことを思うと、驚異的な伸び率である。

 数字だけを追っていても実感が沸かないので、具体的な例に落とし込んでみると、つまり、50歳で高校の同窓会を開いて男性が100人集まったとしたら、そのうちの20人は結婚していないということになる。そう考えると、結構な数だ。

 さらに想像を膨らませてみるならば、同窓会の2次会が終わり、「家族が待っているから」と既婚者が続々と帰路につくなか、30年前なら2人の独身者が「3次会」と称してしみじみとバーで一夜を語り明かしていたかもしれない。しかし、現在なら居酒屋の座敷席で独身者20人がドンチャン騒ぎ、なんてことも考えられる。

 もちろん、結婚という選択をあえて選ばずに生きようと決めている人もいる。しかし実際には、結婚願望はあっても、結婚できない人が増えている現状があるのだ。そんななか、聞こえてくるのは若者たちの悲痛な「結婚不安」の叫びである。

「もう6年も彼女がいないし、仕事が忙しくて出会いもありません。たまに誘われて合コンにいくけど、年収がそんなに高い職業でもないし、イケメンでもないので、反応が悪いですね。5人に1人と聞くと、自分が入っていない方が不自然な感じがしちゃいます(笑)」(30代男性)

「いま29歳なのですが、昨年くらいから友人の結婚式に呼ばれる回数が一気に増えて……。まだ20代だから大丈夫と思っていたけど、今年は30歳になるので、将来のことを考えると少し不安になってきました」(20代男性)

「結婚はできればしたいと思っている程度ですけど、老後のことを考えるとやっぱり不安ですよ。弟がいるのですが、その家族が面倒を見てくれるとも考えにくいですし。1人で寂しく最期を迎えるのは、やっぱり切ないです」(20代男性)

未婚率は30~34歳で47.3%
彼女がいる男性にも広がる焦り

 ちなみに、年齢別の未婚率(男性)を見てみると、25~29歳が71.8%、30~34歳が47.3%で、いずれも過去最高。晩婚化が進んだことで、若者の間に結婚に対する焦りが広がっていることがうかがえる。

 さらに、都道府県別の婚姻率では、東京が最も高く、人口千対で7.1組。一方、最も低かったのは秋田県で4.0組だった。出会いが少ない地方ほど、苦戦しているのだろう。

 また、前述の3人には彼女がいないが、交際相手がいる男性のなかにも、結婚への不安を抱えている人がいる。

「4年半ほど付き合っている彼女がいて、何度か結婚の話しが出たのですが、その都度、貯金がまだ足りないとか、転職した直後だったりとか、色々な理由があって断ち消えになっています。結局現在では、お互い結婚熱が冷めてしまって……。

 今思えば、多少お金がなくても思い切って結婚するべきだったと思います。結局、結婚ってタイミングなんですよね。結婚する気がない2人が、いつまでもずるずる付き合っているのも、そろそろ年齢的にどうなのかと思い始めました。もし、次に付き合う人がいたら、絶対に1年以内に結婚したいと思っています。生涯未婚の話とかを聞くと、やっぱり不安になりますから」(30代男性)

もはや1人で生きる「老後」が心配
理想と現実の間に広がる視界不良

 さらに、こんな声も。

「仮に、自分が生涯未婚で過ごすとして、老後の蓄えはどれくらい必要なのか、老人ホームへの入居も含めて諸々の手続きがちゃんとできるか、葬式はどうするのか、と考えれば考えるほど、たくさんの悩みの種が出てくると思うんです。ただでさえ、年金制度が将来的にどうなっているかわからないご時世ですし。『寂しい』などの感情的な不安より、そっちの方が大きいですね」(30代男性)

「生涯未婚」という言葉が持つ漠然とした不安の背景には、一生1人でいることに対するライフプランが明確に描きにくいことがある。5人に1人ともなれば、独居老人の孤独死対策など、政府も何らかの新施策を打ち出さざるを得なくはなると思うが、「結婚せずに、1人でも幸せに健康で生きられる」というビジョンを想像しようとしても、今のところモヤっと霧がかかった視界不良な状態の人がほとんどではないか。


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● ロス婚の福音

 結婚支援サービス「パートナーエージェント」が新入社員の結婚観について聞いた調査によると、79.3%が「将来は結婚したい」と回答。そのうち、結婚時期について「社会人5年以内」と回答した人が最多で36.3%だったという。

 大学を出て22歳で就職したとしたら、27歳までに結婚したいということだろうが、現実的には厳しい数字であることは、言うまでもない。

 さらに、「40~50歳で独身だったらどうするか」の質問には、54.9%が「諦める」と回答。30歳で未婚の場合に諦める人は9.2%であることを考えると、40歳という節目が「生涯未婚の入り口」だと考えている人が多いようである。

 今後、「生涯未婚」という生き方が一部の少数派ではなくなるのは、統計上から見ても明白だ。政府としては、当然、婚姻率を上げる努力は必要だが、同時に結婚しなくても安心して生きられる社会制度の設計も重要になってくる。

 50歳の同窓会で居酒屋に残った未婚の20人が、将来に不安を感じずに明るく酒を酌み交わすことができてればいいのだが……。