高齢者見守りに携帯電話 恵庭

2012年04月18日北海道新聞

 恵庭市は高齢者を見守る新たな事業として、緊急通報システム専用携帯電話の貸与を、夏ごろから始める。市がすでに高齢者の家庭に設置している、固定型の通報機器では対応しきれない、災害時や屋外での急病時にも役立つ。認知症などによる徘徊(はいかい)についても、衛星利用測位システム(GPS)機能を使って迅速に対応できるという。

 専用の携帯電話やシステムは、市の見守り事業で昨年度から固定式の緊急通報システムの受信を受託している「北海道安全センター」(札幌)と、「ソフトバンクテレコム」(東京)が開発した。

 携帯電話は、同センターとしかつながらない。大きなボタン一つで操作する仕組みで、同センターに終日待機している看護師や介護福祉士の資格を持つスタッフと会話できる。

 緊急時はスタッフが消防に通報する。日常の健康相談にも応じ、同センターから利用者に対し定期的な安否確認の電話もする。

 また、利用者の行方が分からなくなった場合は、GPS機能により同センターが位置情報を把握し、市などに通報する。

 市は同センターから250台を借り、希望者に貸与する。対象は65歳以上で一定の介助を要する人を想定しており、夏までに利用者の募集を始める。月額使用料は2500円で、現在検討されている利用者の負担額は、このうちの1割(250円)。

 市は固定型の通報機器を高齢者の220世帯に設置しているが、市が負担する設置費用は1台5万円程度もかかっている。このため、コストが低く屋外でも使える携帯電話に着目した。

 北海道安全センターが緊急通報を受信している道内36の自治体の中で、携帯電話システムを導入するのは恵庭が初めてといい、市介護福祉課は「高齢者が安心できる生活を支援していきたい」と話している。(門馬羊次)