東京都、1世帯人数初の2人割れ 高齢単身者が増加

2012年03月15日日経新聞

 東京都の今年1月1日現在の1世帯当たりの人数が1.99人となり、1957年に調査を始めて以降、初めて2人を割り込んだことが15日、都の調査で分かった。23区は2005年から2人を下回っており、市町村でも減少が進んだ。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は20.76%と過去最高を更新。高齢化が進む中、一人暮らしの高齢者や若者が増えている実態が浮き彫りになった。

 調査は住民基本台帳に基づき、区市町村ごとの人口や世帯数などを集計した。1月1日現在の総人口は前年比0.31%増の1268万6067人と16年連続のプラス。世帯総数は同0.70%増の636万8485世帯で、調査開始以来、一貫して増え続けている。

 一方、1世帯当たりの人数は調査初年の57年は4.09人だったが、その後は減り続け、2年後に3人台、9年後に2人台となり、今年1月1日現在で1人台に突入した。

 地域別では特に区部と島しょ部で少ない。地方からの若者らの流入が多く、すでに2人を割り込んでいる23区は1.91人。市部(2.19人)、町村部(2.17人)ともに過去最低を更新。区市町村別で最も少ないのは三宅村の1.60人。青ケ島村(1.62人)、新宿区(1.65人)と続く。

 総務省が住民基本台帳に基づき11年3月31日現在でまとめたデータによると、1世帯当たりの人数が最も少ない都道府県は東京(2.00人)で、北海道(2.06人)、鹿児島県(2.17人)の順で続く。全国平均は2.36で、68年の調査開始以来減り続けている。今後、東京が都道府県で初めて2人を下回るのは確実とみられる。

 都の担当者は世帯当たりの人数の減少について「長寿命化や晩婚化で、一人暮らしの高齢者や若者が増えた」と分析。今後もこの傾向が続くとみて、都は高齢者向けの施設整備や一人暮らしの見守り対策などを一段と強化する。

 12年度から民間の空き家について、高齢者が共同生活する「グループリビング」などに活用する場合、改修費の一部を補助する制度を設ける。同年度中に30戸以上でモデル事業を実施する。

 また、全国一律の特別養護老人ホーム(特養)の定員や廊下の幅などの基準を都独自に設ける方針で、土地が割高な都心の事情を踏まえ、定員を増やしたり、廊下の幅を狭くしたりすることを認めることで介護事業者による特養の整備を促す。