富士通が中高年向けスマホ まず国内、欧米にも
2012年03月12日日経新聞
富士通は中・高年齢層向けのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)を開発した。操作を簡素化して人気となった「らくらくホン」のスマホ版で、今夏に日本で発売。年内にも米国、欧州市場でも販売する。健康管理や高齢者の見守り情報サービスと連携させ端末の競争力を高める。2013年度に携帯電話の世界出荷を3割増の1000万台に拡大する原動力とする。
新スマホは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載。中高年層でも使いやすいようにあらかじめ利用する機能を絞り込み、利用前の設定作業を極力簡素化する。主要なアプリ(応用ソフト)も組み込み済みにする。高齢になると聞き取りづらくなる高音部を補正するマイク技術なども組み込んだ。
ネットワーク経由でシステム機能を利用する「クラウドコンピューティング」を生かしたサービスを盛り込む。
体重計や血圧計といった健康測定機器とスマホを連動させて健康管理データを閲覧、医療機関に提供できる機能を持たせる。スマホ内部の歩数計やセンサーを使い運動量を記録する機能、スマホを使った回数を測定し家族に自動的にメールを送る高齢者の見守りサービスなども提供する。
スマホは初期設定などがパソコンに近く、中高年層に使いにくいとされてきた。設定作業を容易にすれば従来型の携帯電話に比べて画面が大きくタッチパネルで操作しやすいため国内外で中高年層の需要を開拓できるとみている。中国での販売も視野に入れる。
国内の携帯電話メーカーは世界展開が遅れていたが、スマホの普及で内外のOSの仕様が統一されたことで海外進出の機運が出ている。スマホ市場では米アップルなど機器とサービスを連動させたメーカーや、低価格攻勢をかけるアジア勢などとの競争は激しい。富士通はサービス連携で端末の付加価値を高める。
富士通は2つ折りの従来型の携帯電話「らくらくホン」で国内累計2000万台の販売実績がある。スマホ版の開発で、少子高齢化が進む国を中心に需要が見込めると判断した。