独居高齢者の自宅死亡倍増 全国的統計なく実態不明
2012年02月27日 東京新聞
誰にもみとられずに亡くなり、時間がたって発見される「孤立死」。明確な定義はなく、全国的な統計も存在しないため、実態は分からないのが現状だ。
死後、時間が経過してから見つかった遺体は、警察が死因調査や身元確認のために死体見分をする。昨年一年間に全国の警察が行った死体見分は15万体以上に及ぶが、警察庁の幹部は「このうち、いわゆる孤立死に当たる遺体がどのくらいあるのかは、把握できていない」と話す。
警察の要請で東京23区内の死因不明遺体の死因を調べている都監察医務院は、独り暮らしで65歳以上の人の死亡場所を公表している。
このうち自宅で見つかり、孤立死の中でも「孤独死」に当たる人は、2003年は1,364人。その後増え続け、10年は2,913人に。同院の担当者は「すべてが孤独死かどうかは分からないが、独り暮らしの人が自宅で亡くなっているのが見つかった場合、多くが孤独死と考えられる」という。
発見者の3分の1は家族で、福祉関係者が17%、管理人は14%だった。
しかし、同院には、さいたま市で餓死した3人や立川市の障害児のケースのように、独居ではない世帯の全員が死亡した孤立死に関するデータはない。
年間3万人を超えている自殺者については、全国の警察署が個々に持っていた自殺者の年齢や職業などのデータを集め、内閣府を中心に分析し対策に活用している。
東京家政学院大の西口守教授(福祉論)は「孤立死や孤独死は定義があいまいで統計がとりにくいが、実態を把握するためにも、一次的な情報を持つ警察と福祉行政の連携が必要」と指摘。「傾向を分析した上で、孤立する前に誰かが気付く仕組みを作らないといけない」と訴える。