独居高齢者の日常生活サポート 日本ライフ協会

2012年01月26日 神戸新聞

 65歳以上の人が一人で暮らす高齢者単独世帯は、479万世帯(2010年国勢調査)で、1995年に比べ倍以上だ。子どもや親せきとの関係が疎遠な人の場合、身元保証人がすぐに見つからず、入院時などに支障が出ることもあるという。社会問題である孤独死を防ぐための緊急時対応に加え、家族に代わる普段からのサポート体制が注目を集めている。(黒川裕生)
 10年前から活動し、10年に公益財団法人に認定された日本ライフ協会(本部・東京)。身元保証の引き受けや買い物、洗濯などの手伝い、葬儀の喪主代行などを請け負うサービス「みまもり家族制度」で知られ、全国で約1200人、神戸事務所(神戸市中央区中町通)でも40人以上が契約している。

 昨年秋に契約した神戸市内の女性(72)は5年前に夫を亡くした。子どもはおらず、独り暮らしだ。「親族に負担を掛けたくない」と考えているが、もしもの際の身元保証人を誰に託すかがずっと気がかりだった。老後の暮らしに関する本を何冊も読む中で、協会を知ったという。

 「緊急時の連絡先としても使えるのがありがたい。もし病気などで倒れたら協会に連絡が行き、スタッフが駆けつけてくれるという安心感がある。長年の不安が解消された」と話し、外出時は協会の電話番号入りの会員証を携帯している。「きょうだいや親類と不仲なわけではない。こうした方がお互い気楽に付き合える」

 同市の別の女性(66)は、昨年74歳で亡くなった姉が「緊急時の対応」や「生前の意思に基づく葬儀、納骨の実施」などを契約していた。入院中の身の回りの世話だけでなく、病院からの引き取りや葬儀の手配などの手続きも協会スタッフが全て請け負った。

 「私自身、きょうだいの介護や自分の病気などで心身ともに厳しい時期だったので、本当に助かった」と振り返る。

 神戸事務所所長の生駒貴徳さん(42)は「独居高齢者の多くは、自身が倒れたときのことを案じながら生活している。地域の連携や介護保険制度などではカバーできない部分もたくさんある」と支援の意義を強調する。

 同事務所は1月中旬、神戸市内で専門家向けのセミナーを開催。ケアマネジャーや高齢者施設の職員ら約40人が参加し、支援の仕組みや料金体系などについて説明を受けた。参加した社会福祉士の河本健二さん(46)=尼崎市武庫之荘=は「独居高齢者の生活をどう支えるかは、ヘルパーやケアマネジャーが最も頭を悩ませている問題。こうした取り組みは今後ますます求められると思う」と話した。
 日本ライフ協会神戸事務所TEL078・361・9009