高齢者向けの宅配サービスが人気、スタッフに雇用や見守りも/神奈川
2011年12月29日 神奈川新聞
高齢者向けの宅配サービスが人気だ。買い物の苦労が軽減されるだけでなく、塩分やカロリーを抑えたメニューや在宅確認のサービスが支持されているようだ。スタッフにも年配者を雇用したり、1人暮らし高齢者の見守りサービスを兼ねたり、高齢社会をつなぐビジネスとして定着しつつある。
コープかながわ(横浜市港北区)はことし8月、夕食宅配「マイシィ」を始めた。1日千食でスタートしたが、来年1月にも4千食を超える見込みという。配食センターも開始時の1カ所から3カ所に増やした。
利用者の約7割が60歳以上。配送員が夕食を届けた際に利用者の緊急事態を発見した場合、事前登録された緊急連絡先へ連絡する「見守りサービス」も実施。これまで使用実績はないが、コープかながわは「1人暮らしの人でも、安心できる地域社会づくりの一助になれば」と話す。
配送員も中高年が多く、「労働時間が短いことや社会貢献をしたい年配者の意向にかなっているようだ」(同社広報部)という。
大手外食チェーン「ワタミ」は2008年7月、弁当宅配業者から経営を引き継いだ。ことし2月は11万8千食だったが、「買い物の不便な地域の課題を少しでも解消させたい」と、全国展開を強化。県内も営業所を約2倍に増やした。
外食事業で培った製造や物流のノウハウやグループ会社で保有する自前の有機農場も活用し、来年1月下旬にも全国で20万食を突破する勢いだ。
業務委託先のスタッフも大半が高齢者。体を動かしたい定年退職者が多く、雇用側にとっても円滑なコミュニケーション能力があって、利用者に好評という。同社は「地域に食と職を提供したい」と話している。