IT活用し限界集落再生へ 県、企業・有識者らで検討委/徳島
2011年09月01日 徳島新聞
徳島県は31日、65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占める「限界集落」対策を考える「とくしま集落再生プロジェクト検討委員会」を発足させた。県庁で初会合があり、既設の光ファイバー通信を活用した古民家などへのサテライトオフィス誘致や、多機能携帯端末を使った安否確認サービスの導入など、委員から具体的な提案が相次いだ。検討委は来年1月をめどにプロジェクト案を取りまとめる。
検討委は地域の活性化に取り組むNPO法人や市民団体、市町村、企業、大学などの関係者21人で構成。この日は全員が出席した。
サテライトオフィスの誘致は、ITサービス会社「アインザ」(東京)の今井勉社長=阿南市出身=が提案した。県が紹介する古民家などに、通信を使って業務ができるIT企業のオフィスを誘致。本来の業務に加え、ITツールを使って地域情報を発信することで集落の活性化を図る新たなビジネスモデル創出も期待できると説明した。
安否確認サービスを提案したのは、徳島市内で大規模コールセンターを手掛ける「テレコメディア」(東京)。集落内世帯とセンターを通信で結び、安否確認や定期的なコミュニケーション、通販などの自社サービスを提供する構想で、県内の限界集落で近く試験運用する方針という。
このほか「古民家に興味を持つ若い世代はかなり多い」「田舎の本当の価値を集落の住民が認識することも必要」といった意見も出た。
県内では、限界集落が全集落の35.5%を占めており、全国平均15.5%の2.3倍と深刻な状況に陥っている。飯泉嘉門知事は冒頭のあいさつで「限界集落は日本全体に広がっている。有効な解決策を徳島から発信してほしい」と呼び掛けた。