孤独死、過去最高550人 昨年の県内、県が大学と共同調査へ/岐阜

2011年08月21日 中日新聞

 昨年、県内でだれにもみとられずに亡くなった人は前年の1.4倍の550人で、過去最高となった。10年前の約3倍で、65歳以上の高齢者の割合が急増。独り暮らしの高齢者世帯が増加し、地域の絆が薄れてきたことが一因とみられ、県は本年度、県内の大学との共同調査に乗り出す。

 独り暮らしで、自宅や施設の自室で病死しているのを見つかるなどして検視対象となった人数について、県警がまとめた資料を県が明らかにした。

 それによると、昨年に亡くなった550人のうち、65歳以上の高齢者は411人で75%を占めた。2000年に孤独死した高齢者は131人で、10年で3・1倍に増えている。

 猛暑だった昨年は、熱中症が原因とみられる高齢者の孤独死も。生活困窮者の支援をしているサポートセンター「結」によると、昨年7月ごろ、岐阜市のアパートで暮らしていた60代の男性が下着姿で脱衣所で倒れて死んでいるのが見つかった。男性は生活保護を受けており、部屋にクーラーはなく、死後、1週間ほどたっていたという。

 高齢者の孤独死が増えている原因について、県地域安全室は高齢者の単身世帯の増加を指摘。05年の国勢調査によると、県内の単身高齢者は4万4731人で、2000年に比べ1.3倍となっている。

 このため県は本年度初めて、単身高齢者の実態調査を実施。都市や農村、山間地など地域特性の異なる10地区程度で単身高齢者が独り暮らしに至った経緯や家族状況、困っていることなどを調べ、孤独死の防止策につなげる。実際の調査は公募で選んだ大学の研究グループが行い、県は経費を補助する。

 現在、研究グループを選考中で、来年3月ごろに報告会を開く予定。地域安全室の担当者は「単身高齢者を日常的に支え合う活動の体制づくりを進めたい」と話している。

(山本真嗣)