高齢化進む新宿・戸山団地 NPO法人、携帯を貸し出し かかりつけ医紹介も/東京

2011年08月03日 東京新聞

 高齢化が進む新宿区の戸山団地で孤独死防止を目指すNPO法人「人と人をつなぐ会」は今夏、昨年始めた携帯電話による見守りサービスを改良した。地域の医療機関から寄付を募って高齢者の金銭負担を減らし、より便利な新機種を貸し出すことで、利用を促す。 (松村裕子)

 このサービスでは、24時間・365日いつでも、困り事や体調不良のときに携帯電話のワンタッチボタンを押すと、コールセンターにつながり、オペレーターが相談に応じて区や社会福祉協議会などにつなぐ。緊急時には119番通報もする。

 毎朝、最初に電話を開くと、あらかじめ登録しておいた子どもらにメールが届き、安否確認にもなる。

 ただこれまでのシステムは、高齢者の携帯電話購入が前提。70歳以上で団地や近隣で独り暮らしをする高齢者約百人がサービス利用を希望したが、経済状況から買えない人が多かったため、今回、貸し出し方式に変更した。

 訪問診療のできる医療機関から寄付を集め、レンタル料やコールセンターの利用料に充当。高齢者の負担は通話料だけになる。一方、寄付した医療機関を、電話を借りる高齢者にかかりつけ医として紹介することで、医療機関側にもメリットが生まれる仕組みにした。

 本庄有由会長(73)は「サービスを使ってほしい人が携帯電話をもてるシステム。いざというときに往診してもらえるかかりつけ医がいない高齢者も多い。医療機関だけでなく高齢者にもメリットがある」と話す。

 8月以降、利用者の所有する既存電話を新機種と取り換え、サービス利用の希望者には電話の貸し出しを始める。年内に1万人へ貸し出すことが目標だ。