血縁以外に頼れる人いない 孤立化進む高齢者 11年版白書
2011年06月07日 東京新聞
政府は、7日午前の閣議で2011年版高齢社会白書を決定した。高齢者の社会的なつながりを国際比較した結果、日本は血縁以外に頼れる近所の人や友人がいる割合が最も低く、国際的にみて社会的孤立が進んでいる実態が明らかになった。
昨年、住民基本台帳などに記載されていながら所在が分からない高齢者の問題がクローズアップされたが、白書は「日本の高齢者は血縁中心に人間関係を構築しており、近所や友人との関係が希薄」と分析している。
内閣府は、日本と米国、ドイツ、スウェーデン、韓国の60歳以上の人を対象に意識調査。困った時に同居の家族以外で頼れる人を複数回答で尋ねたところ、日本で「友人」を挙げたのが17.2%、「近所の人」は18.5%で、5カ国中最低。逆に「いない」との回答は20.3%で最も多かった。最も少なかったのはドイツで5.4%。
また、ボランティア活動などへの参加状況は、日本は31.3%で、韓国の17.6%を上回り4位。スウェーデンでは54%が参加していると答えた。
別の調査では、日本の60歳以上で、ボランティア活動への参加を希望する男性が34.6%で、女性の23.9%を上回った。
東日本大震災でボランティアへの関心も高まっており、内閣府は「孤立化しやすい男性高齢者の社会参加の有効な手段となりうる」と期待を示している。
65歳以上の人口は2010年10月時点で2958万人。総人口に占める割合を示す高齢化率は23.1%で、前年比0.4ポイント増加した。