高齢者が敬遠したユビキタス、市がウソの報告/京都
2011年06月03日 読売新聞
京都府宮津市が、高齢者にパソコンを配って買い物サービスなどを行う総務省の補助事業で、申し込みがごくわずかだったにもかかわらず、進捗状況を「85%」とする報告書を提出していたことがわかった。
市の説明では、目標値をそのまま記入して達成できなかったといい、2日に記者会見した井上正嗣市長は「虚偽となる数字を報告をしたことは申し訳ない」と陳謝。総務省は事実関係の調査を始めた。
問題となっているのは、総務省の「ユビキタスタウン構想推進事業」。独居高齢者らに小型パソコンを配布、日用品の配達注文を受け付けたり、健康管理をしたりするもので、1億2350万円の交付を受けた。
市はダイレクトメールを送るなどしてPRしたが、高齢者らは「機械は苦手」「文字が小さい」などと敬遠。3月11日時点で、申し込みは10人だけだったが、同省には200人の端末配布に対する実績を「170人(85%)」とする成果報告書を出した。
井上市長は会見で謝罪したうえで「必要な事業であり、一日も早く必要な方に配布したい」と語った。また、担当の自立循環型経済社会推進室の小西肇室長は「実績ゼロでは報告できないと思い、年度末までに配ろうとしたが、結果的にはできなかった」と釈明。今後、公民館に機器を設置したり、老人クラブで使い方教室を開いたりしてPRを強化し、9月末までに全台を配布したいとしている。
総務省近畿総合通信局の情報通信振興課は「数値が真実と考えていたが、違うならば問題。事実関係を調べた上で対応を決めたい」としている。