孤独死「身近」6割超、高齢者所在不明問題を受けて県営団地の高齢者に意識調査/神奈川県
2011年05月15日 神奈川新聞
「孤独死」を身近に感じる高齢者は6割超―。昨年相次いだ高齢者所在不明問題を受け、県が県営団地に暮らすお年寄りを対象に意識調査したところ、こんな数字が浮かび上がった。見守りサービスなどを望まない人も1割強おり、地域との関わりを持たない孤立化も広がっている。県が目指す孤独死防止には、住民自身の意識向上や地域参加をどこまで促せるかが大きな課題だ。
県によると、県内の県営223団地で発生している孤独死は毎年60件前後。70~74歳が最も多く、全体の約25%を占める。
調査結果では、孤独死を身近な問題として「非常に感じる」が30.8%、「まあまあ感じる」が31.7%。合わせると6割を超えた。一方「あまり感じない」は17.1%、「全く感じない」が6%だった。
近隣住民との交流については「親しく付き合っている」(34.5%)と「立ち話程度」(34.1%)が多数を占める。約4人に1人は「あいさつ程度」。「ほとんどない」は4.3Vで、その中で付き合わない理由に「あまり関わりあいを持ちたくない」と答えた人が半数近くいた。
今後望むサービスは「緊急時に自分で操作する通報装置」(26.6%)、「センサーなどを利用した自動通報装置」(14.3%)など。だが「見守りなどのサービスを受けたいと思っていない」という人も13.7%に上り、その半数以上は1人暮らしだった。また、対象団地の自治会役員や民生委員らにも調査を実施。普段の見守り活動で4割強の人が「困っている」と回答。具体例として関係機関から情報がないことや、住民から面会拒否されたり不信感を持たれたりすることが挙げられたという。
過去、孤独死に対応した経験がある人は42%。防止策として見守り態勢の整備や住民自身の交流意識の向上などを挙げるが、一部住民との意識のギャップに頭を悩ませているのが実情だ。
県によると、孤独死が発生した場合、県営住宅では原則約1年間、入居募集を停止しているという。県は「人生の最後を悲惨な形で迎えないよう、住民自身も責任を持って対応して」と呼び掛ける。
調査を受けた浦賀かもめ団地自治会(横須賀市鴨居、1589世帯)の中山晃一会長(74)は「1人暮らしの高齢者に名簿作成への協力を拒否されることもある」と話す。水道を半日ほど使用しないと自動的にランプが点灯して周囲に知らせるシステムを約20年前に導入したが、対象は80世帯程度。「もっと普及できればいいが…。10年以上前に閉店したスーパーの跡地を交流の場として有効活用できるよう考えてほしい」と県に要望している。
調査は昨年12月、県営3団地の高齢者1200世帯で実施。945世帯から回答を得た(回収率78%)。