団地住民6割、「孤独死は身近」 県の高齢世帯調査/神奈川

2011年02月28日 朝日新聞

 6割強の人が孤独死を身近に感じている――。昨夏の所在不明高齢者問題などを受け、県が行った「県営団地孤独死実態調査」でこんな実態が明らかになった。調査結果は、開会中の県議会厚生常任委員会などで報告される予定。県は、調査で孤独死への不安が明らかになったとし、「調査結果を自治会などに提供し、見守り活動に結びつけたい」としている。

 県は孤独死を「家族など誰にもみとられずに自宅で亡くなり、しかも何らかの手助けがあれば防げたかもしれない不本意な死」と定義し、223の全県営団地のうち、1千戸以上の規模でかつ高齢化率が特に高い3団地について、昨年10月から調査を開始した。調査は独り暮らしの高齢者や高齢者夫婦計1200世帯にアンケートを配布。約8割の945世帯から回収した。

 孤独死を身近に感じるか、という設問では、6割超が、「感じる」と回答。近所づきあいの設問では、「親しくつきあっている」「立ち話程度」がそれぞれ約35%、「あいさつ程度」「ほとんどない」が合わせて3割弱で、希薄な人間関係もうかがえる。

 一方、3団地で地域で見守り活動をする自治会役員や民生委員、老人クラブ役員、地域包括支援センター職員など計112人に対してもアンケートを行い、88人から回答を得た。孤独死で困った内容として、「合鍵が無く、部屋に入るのが困難」が約87%、「緊急連絡先がすぐに分からなかった」が約54%、「連絡しても、遺品の引き取りなどの関わりを拒否された」が約24%と続いた。

 孤独死を防ぐためには、「住民、団地自治会、行政が協力し、見守りの仕組みを整備すべきだ」「住民同士が良好な人間関係を築くべきだ」「本人が積極的に周囲と交流する努力をすべきだ」という意見が多かったという。(木村尚貴)