テレビ電話、全戸設置 秋田・上小阿仁村
2011年02月09日 河北新報
秋田県上小阿仁村は、村内の全世帯(約1000戸)にテレビ電話機を設置し、新年度に光ファイバー回線を使って行政情報を提供する事業に乗り出す。災害情報などを伝えるとともに、高齢者の安否確認にも活用する。
村は本年度、全域で光ファイバー網の敷設工事を行い、昨年11月からは各世帯にテレビ電話機(1台約8万円)を無料で設置する作業を進めている。総額約5億円の事業費は、国の交付金や過疎債で工面した。村によると、テレビ電話機能のある行政情報の受信端末を全戸に配置するのは、全国でも珍しいという。
村は4月から、健康診断やゴミ収集などの情報を文字や音声で送信する予定。住民は、画面のタッチパネルを操作して受信できる。洪水など災害発生時には、電話機を操作しなくても、避難勧告情報などをサイレン音とともに受信できる機能がある。
村内限定でテレビ電話通話も可能で、各世帯同士の通話料は無料。村は保健師らが一人暮らしの高齢者に連絡し、映像を通じて健康状態などを確認する取り組みなども進める。
住民に操作方法を覚えてもらおうと、村は指導役の臨時職員3人を雇用し、8日から村内全18集落を巡回する説明会を始めた。
説明会に参加した農業御処野耕作さん(75)は「顔を見ながら通話できるのは楽しい。防災情報が受信できるのは便利。操作方法を覚えるのが大変だが、使いながら覚えたい」と話した。
過疎化が進む上小阿仁村の1月末現在の人口は2857人で、65歳以上の高齢者の割合は約44%に上る。